アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

アメリカに心のきれいな女性あり

 「不要の家具を無償で譲ります」というinternetの掲示板を見た女性が、これは神様からのプレゼントと喜んで、ソファなど「不要」な家具を引き取って満足していたところ、ソファのクッションの中に、何か異様なものが入っているような気がして、ファスナーを開けて見ると、銀行の封筒に入った大量の紙幣が見つかったという。主に$100札だが、一部$50札、$20札もあり、全部で$36,000(≒480万円)以上の金額になる。それぞれの封筒には、中に入っている現金の額が、丁寧に手書きで記載されていたとのこと。

 

 家具を譲ると掲示板に書いた人は、最近亡くなった叔父の家を相続した甥。数年前に親戚から伝えきいた話で、叔父の家の中にお金が隠されているという話を覚えていたので、叔父が亡くなってから、家中を探したところ、$1,000(≒13万円)ほど見つかり、これで全部だと思っていた由。家具はいらないので、必要としている人にあげようと掲示板に載せたのだそうだ。

 

 一方の女性は60代のNigeria出身のVicki Umodu、3年ほど前に夫が亡くなり、一人暮らしだったので、娘一家や息子が住んでいるCalifornia・Coltonで借家を見つけ、娘一家の近くで孫の面倒をみてあげようと引っ越してきたところ。それまで使っていた家具など近所の人たちにもらってもらい、引っ越し荷物というほどのものもなく、空っぽの借家に越してきたものだから、これから家具を買わなくてはと思案していたところに、無償であげますという掲示板を見た。

 

 必要な家具はすべて持っていっていいと言われて大喜びの彼女は、息子に手伝ってもらって、ソファ、テーブル、椅子、ベッド、シーツ、皿類等をたくさんトラックに積んできた。ソファのcushionがいびつだったので、開けて見ると、大金が出てきたのでびっくり。こんなにたくさん家具などをもらった上に、現金までいただいては罰が当たると、件の男性(甥)に電話して、$36,000はあなたのものだから取りに来てと言ったという。

 

 甥はびっくりしてすぐに彼女の家に来て、自分があげた家具以外ほとんど何もない家を見て、彼女が家具を全部引取りどこかに売り払う人でなかったことがわかり、いい人にもらってもらったことを喜んだ。彼女の家に冷蔵庫がないのに気が付いた彼は、これで冷蔵庫を買ってくださいと、彼女が見つけてくれた現金の中から$2,200(≒30万円)をお礼に渡した。

 

 こんな正直な人がアメリカにいるということがニュースになって、全米に知れ渡った。もらった家具の中に、偶々入っていた現金は誰のものか。家具をくれた人に返す必要はあるのか。現金ごとくれたものだから、遺失物横領にはならない。しかし、Vickiさんは、自分には元気な子供が2人、かわいい孫も3人いる、これ以上神様にお願いすることはないと、全額返金を決意したのだ。ニュースでは、彼女の行為について、なんて正直な人だと称賛されているが、自分なら返さないとか、謝礼は半額くらい弾むべきだからこの男はケチだとか、いろんな意見が出ている。果たして、自分がVickiさんの立場だったら、$36,000返したであろうか。

停車中の自動車も危険運転罪

 自動車運転死傷行為処罰法第2条では、「重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」は危険運転となり、人を負傷させたら懲役15年以下、人を死亡させたら懲役1年以上に処せられる。ケガさせただけでも最高15年の懲役、死亡させるほどの事故であれば、ほかにも刑法に触れる行為をしていて罪は加重されるから懲役30年まであってもおかしくない。

 

 5年前の6月、東名高速道路であおり運転を繰り返し、夫婦を死亡させた石橋和歩(事故当時25才)に対して、差し戻し審で横浜地裁は、危険運転致死罪を認め、再度、懲役18年の実刑を言い渡した。2018年12月14日の横浜地裁判決は、部分的にしか危険運転致死を認めなかったが、被告が危険運転ではないと控訴したため、東京高裁の判決を待つことになり、東京高裁は2019年12月6日、被告の一連の行為は危険運転致死罪が適用されると判断して、横浜地裁でやり直しすることになったもの。

 

 被告の言い分は、時速ゼロで停止中の自動車は「重大な交通の危険を生じさせる速度」で運転しておらず、危険運転致死罪に該当しないと主張する。しかし、あおり運転により、追い越し車線上に夫婦の車を無理やり停車させて、追突事故を誘発した一連の行為は、危険運転致死罪に該当するとの結論だ。高速道路の追い越し車線に自動車を停車させて夫婦に暴力をふるっていた時に、後続の(前方不注意)トラックが夫婦の自動車に突っ込み、夫婦は死亡した。

 

 被告の主張(弁護士の入れ智慧か)は、時速0kmの自動車が危険「運転」罪に該当するはずがなく、夫婦の死亡の原因は前方不注意のトラックだと無罪を主張したため、裁判が長引いた。死亡事故発生の時点で自分は運転しておらず、トラックが突っ込まなければ夫婦は死ななかったという

 

 今回の判決(2022年6月6日、横浜地裁)で、男の一連の行為自体が危険運転致死罪に該当すると断罪され、死亡事故発生時に自分の車が時速0kmであっても、危険運転に違いはなく、あおり運転と夫婦の死亡の間には、因果関係があると認められた。男はすぐに控訴すると発表しているが、最高裁に行っても結論は変わらないだろう。この男のおかげで、その後、あおり運転は「危険運転」として、自動車運転死傷行為処罰法第2条が改正され、「重大な交通の危険を生じさせる速度」は必須の条件ではなくなった。

 

 車の通行を妨害する目的で、走行中の車の前方で停止ししたり、著しく接近する行為も危険運転となり、走行中の自動車に停止又は徐行をさせる行為も危険運転と改正された。そのような行為の結果、死亡事故を起こせば、危険運転致死罪となる。石橋和歩は、自動車運転死傷行為処罰法改正前に事故を起こしたため、これだけひどい事故を起こしても、懲役わずか18年で済んだことに感謝すべきで、これ以上裁判を続けても無駄というものだ。2019年8月、あおり運転殴打事件を起こした宮崎文夫(当時43才)は、死亡事故に至っていなかったため、懲役2年6カ月、保護観察付執行猶予4年となったが、法改正後の今なら、もっと厳しく処罰されるはずだ。

巨額定額給付金持ち逃げ犯

 山口県阿武町が、間違って、定額給付金463世帯分を一人の男の口座に振り込んだ事件が、不思議な方向に進んできた。4,630万円のうち、約4,300万円がonline casinoの決済代行業者3社から阿武町に戻ってきた。4,630万円着服男は、弁護士経由、全額online casinoで使ってしまったと言っていたので、それが正しければ、返済の資金はないはずだ。阿武町が「法的に確保した」お金が第三者弁済とすれば、4,630万円男が決済代行業者に第三者弁済の承諾をしたことになる。

 

 4,630万円着服男に代わって阿武町に弁済した決済代行業者は、これから着服男に返済せよと請求する権利を取得する。着服男が本当にonline casinoで全額すってしまったのが事実なら、この男の親でもない決済代行業者が、男に代わって弁済する筋合いはないはずだ。それが、なぜか男から入金された全額を阿武町に返済したのには、意味深長な理由があるようだ。

 

 元々、わが国ではcasinoは違法賭博であり、認められていない。IR法(統合型リゾート整備推進法)で認められた特定の場所でのみ、casinoが将来合法化されることは決まっているが、online casinoはまだ合法化されていない。決済代行業者が男に代わって弁済した魂胆は、自分たちの経済活動が、違法な賭博に関わるものであることを認識しているからに違いない。既に警察も動いて、決済代行業者の口座も差し押さえているというから、次はこれらの決済代行業者にガサ入れがいつ来るかの問題だ。調べられたら、4,630万円男以外の顧客リストもすべて警察に筒抜けになるどころか、違法な経済活動をしている決済代行業者の登録も抹消されることになる。

 

 銀行法に基づき金融庁の登録を受けている決済代行業者は、credit cardやdebit cardなどの決済業務を行っており、online casinoへの入金と知って資金決済を代行するのは、業務のほんの一部に過ぎない。そのために登録が取り消されると面倒なので、顧客(4,630万円男)からどう回収するかはさておき、とりあえず、犯罪収益金をonline casinoのために入金したことが判明したので、第三者弁済を優先したと想像がつく。

 

 その後の調べで、この男は、山口市内から阿武町の空き家バンク制度を利用して、2020年10月に引っ越してきた田口翔(24才)であることが判明した。阿武町が、減少しつつある住民を増やそうと、一軒家を月額25,000円で貸す制度を利用して、新規住民に10万円の奨励金を払い、今回、住民税非課税の男にもcoronaで生活が大変だろうと、定額給付金10万円を払ってあげたが、なぜか役場の新人職員が間違って、463世帯分をもう一度、田口翔の口座に振込の指示をしたという。指示を受けた山口銀行の担当者も、新人なのかどうかわからないが、普通の感覚であれば、役場に確認の電話ぐらいするだろう。自分のやっている仕事の意味を考えずに働く者があちこちにいるために、今回の問題が起こったのだと思われる。

 

 第三者による弁済がされたところで、田口翔が誤振込の大金を着服してonline casinoで使った事実は残っており、この若者は、まず、刑罰を受けることから人生をやり直さねばならない。

ウクライナはロシアに勝つ

 マリオポリの製鉄所を拠点にして戦っていたアゾフ大隊(1,700名以上)は、任務終了として投降したが、この強烈なアゾフ大隊を攻略するために、ロシア軍は多くの戦力をマリオポリに張り付けることになり、その結果、他の地域ではウクライナ軍に敗退させられている。5月8日の渡河作戦(Siverskyi Donets River)中の奇襲攻撃では、一度に戦車・装甲車など80両が破壊され、兵員500名が死亡したというから、一個大隊1,000名の残りは全員負傷のはずで、文字通り全滅と言っていい損失を被っている。

 

 2月24日に始めたロシアの侵略戦争から、今までに戦車・装甲車・火砲・多連装ロケット砲・軍用車両など、3分の1をウクライナ軍に破壊されたと分析されている。このままでいくと、7月末までには2分の1以上を失うことになる。しかもミサイルもかなり使い果たしており、補給の見通しは立っていないという見方もある。兵士に至っては死者3万以上(6万との推測もある)。22万人投入しているから、少なくとも13%は損失となっているはずだ。また、死者3万人として、2倍の6万人の負傷者がいる筈だから、負傷の状態にもよるが、9万人近く(40%)の戦力が減少したとみるのが妥当だろう。7月末までに死者は4万人を超えるのは確実なので、死者20%、負傷者40%とすると、残りは40% = 9万人ということになる。

 

 軍隊の中ではいろんな役割の兵士が必要なので、死者・負傷者の数が役割ごとに均一に減るわけではないから40%減ると戦えなくなると言われているそうだ。6月中にはその時期が来ると思われ、強気のロシアも態度が変わるかもしれない。6月になると、欧米から届く最新鋭の最新鋭大型攻撃兵器が活躍し始めるので、ロシア兵士の損傷もこれ以上の速度で進むだろう。あとは、どの時点でロシアとウクライナが戦争を終結するかだ。ウクライナ側の人的被害は、一般住民は多数だが、兵士の被害はロシア軍の7分の1のようだから、やはり地理をよく知った自国の兵士の方が有利ということなのだろう。他にもウクライナはドローン(drone、無人機)を使って攻撃しているので、ドローンが活躍している限り攻撃側に損傷はない。

 

 ウクライナは、東部のドンバス地域はもとより、クリミア半島も奪還しようとしているので、長期戦になる可能性がある。そのうちPutinの病気が進行してトップ交代となれば、大きく動くと思われる。1日2兆円とも2.5兆円ともいわれるロシアの戦費は、もうすでに足がついており、経済的にはやっていけない筈だ。武器の補給も経済制裁半導体が入手できず(半導体のロシア国産はない)、補給は難しい。長期戦になるとロシアが圧倒的に不利になる。一方のウクライナには味方が多く対照的だ。

 

 間もなくロシアの侵略戦争開始から3か月、5日後には$1億(≒128億円)の国債利払いが控えており、恐らく債務不履行に陥るとみられる。国家予算35兆円、GDP 150兆円のロシアは、既に200兆円以上の戦費を浪費したはず、このままいつまでも戦争を継続する経済的基盤はないとみる。この戦争でPutinロシアに勝ち目はない。

史上最大の大泥棒Putin

 Putinは、ロシアがリースで借りている航空機を返さないと一方的に通告し、3月14日には、リース航空機の所有権をロシアの航空会社に移すことを認める法律を制定した。ウクライナ侵略戦争に対する欧米の経済制裁の一環で、リース契約の解除を通告したところ、ならば、ロシア国内にある借りた飛行機436機は没収するという手に出たのだ。いわゆる「借りパク」であり、リースの意味が分かっていない。盗ったものも借りたものも自分のものというロシア独特の発想だ。

 

 航空機リース世界最大手のAerCap Holdings(本社Ireland)は、航空機を1,340機所有していて、90か国200社ほどに貸し出しているが、そのうち約100機ほどはAeroflotなどロシアの航空会社に貸し出している。貸した航空機が戻ってこないことが確定したので、保険会社に$35億(4,500億円)の保険金請求を準備中という。ロシアで没収されたすべての飛行機が保険請求となると、保険金総額は$150億(2兆円)になると試算されている。

 

 しかし、Boeing、Airbusなど機体本体をロシアが没収したところで、今後は部品を調達することもできず、いずれ航空機は使用できなくなるだろう。正規の部品を使わずに運航できる期間は限られている。しかもかなり危険だ。ロシアは、人工衛星を飛ばすほどの技術を持っているから、ある程度の維持管理はできるだろうが、いつまでも無事に使えるとは限らない。ロシアが国内で運行している飛行機の半分は外国からのリースだから、ゆくゆくは国産航空機だけの運航となり、路線の打ち切りや減便を余儀なくされるだろう。

 

 ロシアは広大な国なので、移動に飛行機は必須だ。Putinの仕掛けた戦争のおかげで、国内の移動も不便になると、ますます、国民生活に打撃が及び、Putin批判に向かうことが予想される。ウクライナ侵略戦争はいずれ終わるだろうし、欧米の経済制裁も未来永劫継続するものではないが、経済制裁が解除された後でも、ロシアに対する航空機リースの保険料は大幅に上がるのは間違いなく、世紀の大泥棒の後遺症は、後々のロシアに重くのしかかることになる。

 

 ロシア軍は、ウクライナで住民を追い出した後の空き家から、家財道具(冷蔵庫等の電気製品)などを盗んで隣国ベラルーシに運び、そこからロシアに宅配便で輸送しているのが確認されている。また、ウクライナの倉庫から穀物を盗み出し、トラックでSebastopol港まで運び、ロシア商船に積んでシリアなど中近東に密輸している。既に穀物40万トンを売りさばいたという情報がある。今日のニュースでは、穀物を満載したロシアの商船が、イタリアでもエジプトでもレバノンでも盗品を積んだロシア商船ということで入港を拒否されているとのこと。

 

 国を挙げて盗人となり下がったロシアの先行きは非常に暗い。はやくPutinを処分して、年月をかけてまともな国になることを祈るばかりだ。

キャンプ用品窃盗転売男逮捕

 先月、北海道で、キャンプ場から高価なキャンプ用品を盗み、フリマサイトで転売していた男が逮捕された。被害に遭った人は札幌市在住の主婦、昨年9月、自宅から車で1時間くらいのキャンプ場に出かけ、たまたましまい忘れたYetiブランドのクーラーボックス(買値38,000円、1年使用)が、深夜から早朝にかけて、誰かに盗まれたのだ。そんな大事なものをテントの中にしまい忘れた方にも過失があると言えるが、窃盗はもっと悪い、犯罪だ。

 

 しっかりした主婦は、このまま泣き寝入りでは納得できないと、家族で相談した結果、犯人は転売目的ではないか、そうならすぐに転売サイトに出すかもしれないという見当をつけた。この事件の経緯を主婦が長女に説明したところ、その晩、長女がメルカリとラクマで、盗られたものと同じ色のYetiクーラーボックスが出品されているのを発見したという。高価な商品であればあるほど写真をたくさん載せるものだが、件のクーラーボックスには写真が2枚しかついていなかった。長女は客を装って、いろんな角度から写真を撮って送ってほしいと頼んだところ、すぐにたくさん写真が送られてきた。

 

 Yetiのシールを貼っていた場所からは、シールが剥がされていて、その跡が残っていた。焚き火の時についた炭の跡や、子どもたちがつけた傷など、見覚えのある特徴がすべて一致した。何とか綺麗にならないかこすったので、汚れの場所までよく覚えていたという。ますます犯人だと確信を持ったところで、今度は主婦が、「エビ美味しかったですか?エビ食べました?ぷりっぷりでしょ?返してくれませんか?それ」と、初めて出品者にコメントを付けた。実は、盗られたクーラーボックスには、前日に食べきれず帰宅後に食べようと思っていたエビや肉などの食材も入っていたのだ。

 

 コメントがついて間もなく、クーラーボックスは出品から削除されたので、この出品者が犯人であることが確定した。こういうこともあろうかと予測して、それまでのフリマサイトの一連の投稿のスクリーンショットはすべて保存していたので、削除されても証拠は手元にある。しかし、警察に被害届を出すにはこれらの証拠だけでは足りず、現場検証が必要。片道1時間かかるキャンプ場に警察と2~3回行き、一度はテントも張って盗難に遭った時の状況も再現して、ようやく被害届を出したという。

 

 警察が裁判所に提出する調書を作成して、主婦のサインを求めた時点で、既に犯人の氏名、職業、自宅など把握していたようだが、まだ主婦には伝えられない。調書をもとに裁判所が逮捕令状を出し、4月になって、やっと犯人逮捕の報が届いた。(同時に北海道内ではニュースになったとのこと)犯人は江別市在住の24才、介護福祉士の男。「盗むためにキャンプ場に行った」「売ったら金になりそうだと思った」などと警察に話している。主婦からクーラーボックスを盗んでから、7カ月後の逮捕となったが、その間にも、男はキャンプ用品をいろいろ出品しており、一部は落札もされている。警察は余罪も追及しているとのこと。Yetiクーラーボックスは出品から削除したため売れ残って犯人の手元にあり、無事主婦に戻ってくるという。

ムンジェインの汚い自己防衛策

 韓国大統領の成れの果ては、過去の実績が証明するところで、在職中いい思いをした分、退任後に罪人となっても仕方がないという諦めの境地なのだろうか。任期5年で再任なし、その代わり現役大統領の権限は絶大で、退任後の生活を考えて不正蓄財に走る。朴槿恵(パク・クネ)前大統領まで、ほぼすべての歴代大統領は、現役時代の不正蓄財で、投獄されるか自殺を選んでいる。

 

 パク・クネ(朴槿恵)前大統領(在任期間2013~2017年)は、大手財閥から巨額の賄賂などを受け取った収賄罪により、懲役24年、罰金約18億円(180億ウォン)の実刑判決を受け刑に服した。昨年末、ムンジェイン大統領の情けにより恩赦を勝ち取り、今年のお正月に刑務所から娑婆に復帰した。

 

 ノ・ムヒョン盧武鉉、在任期間2003~2008年)は大統領退任後、在任中の不正蓄財疑惑(約6億円)につき包括収賄罪容疑で検察が事情聴取しているさ中、62才で自殺した。ノ・テウ(盧泰愚、在任期間1988~1993年)も退任後、在任中の不正蓄財が数百億円に及ぶことが発覚して、懲役17年、追徴金約270億円(2,688億ウォン)の最高裁判決を受けた(後に恩赦)。チョン・ドゥファン(全斗煥、在任期間1980~1988年)も在任中の不正蓄財や光州事件(市民の大量虐殺)の責任を問われて退任後投獄され死刑判決を受けた。(追徴金約167億円を支払い、後に恩赦)

 

 間もなく任期が切れるムンジェイン(5月10日交代)も、早々と自分の将来を考え、法務部長官(日本の法務大臣)に腹心の男(曺国/チョ・グク)を指名したが、就任後1カ月ほどでチョ・グクの不正がばれてしまい辞任に追い込まれた。大統領が交代しても、同じ政党が大統領を出している限り、在職中の不正を追及される心配はないので、たまたま、前回の国会議員選挙では、韓国のコロナ対策がうまくいっているとのことで与党が勝利、国会の過半数を占めていたため、今回の大統領選挙もうまくいくかもしれなかったが、わずかな差で、野党の大統領候補ユンソギョルにやられてしまった。

 

 この次期大統領は、元検察総長で、ムンジェインに反発して検察総長を辞職したほどの信念の持ち主だから、前大統領を逮捕して刑務所に送るには、最良の人選なのだ。ところが、ムンジェインは、任期が切れる前に、法律で検察の捜査権を大幅に制限すべく、「検察捜査権完全剥奪法案」を国会に提出、与党の賛成多数で成立させようとしている。関連する刑事訴訟法検察庁法の改正を本日の本会議に上程して、明日にも憲法の精神に反する内容の法律の成立を目論んでいる。ここまでやっておけば、ムンジェイン退任後も、すぐに前大統領の責任を追及されることはなく、次期国会議員選挙で現与党(共に民主党)が過半数を割り、法律改正されるまで安泰と考えているのだろう。

 

 韓国の政治家も、所詮、ムンジェインのような人間が国会で多数を占めている限り、日韓関係が、大統領交代を機に、すぐに改善するとは期待しにくいかもしれない。