アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

外務省機密漏洩事件と特定秘密保護法

憲法第21条(表現の自由)の勉強で必ず出てくる判例が外務省機密漏洩事件だ。1971年に行われた沖縄返還日米交渉の際の日米の密約について、外務省の女性事務官に近寄り、外務省の機密情報を持ち出すようそそのかしたとして、毎日新聞記者西山太吉氏が逮捕され、最高裁で懲役4カ月(執行猶予1年)の有罪判決が確定した【最決昭53.5.31】(同時に逮捕された外務省の女性事務官は、国家公務員法違反の罪で懲役6カ月、執行猶予1年)。

自民党政府(総理大臣佐藤栄作)は、米国が沖縄を日本に返還するに際して、米側が軍用地復元補償費を自発的に支払うという協定文を公表し、日本側は一切資金提供はしていないと国民に報告したが、西山記者が外務省の極秘文書を入手して、400万法陛??12億円)の米国負担となっていた地権者に対する土地原状回復費を、実際には日本政府が肩代わりして米国に支払うという密約が存在することを暴露した。毎日新聞は、憲法で保障される表現の自由に、報道の自由、取材の自由も含まれるているではないか、新聞の使命は事実の報道であり、戦前の大本営発表のような政府の一方的発表を報道するのではないと密約の暴露を正当化した。しかし、最高裁は、記者の取材活動の違法性を強調し、報道の自由は無制限ではないと判断したのだ。

日米密約が報道された後も、佐藤政権は「裏取引は一切ありません」(1971年6月外務大臣福田赳夫の国会答弁)と密約の存在を否定し続け、平穏理に(米国から沖縄を金で買い戻さず)沖縄返還を実現したとして、1974年12月、佐藤栄作ノーベル平和賞受賞となる。しかし、1998~2000年に米公文書館沖縄返還の関連文書が公開され、密約の全容が明らかになった。裏取引の実態は、西山記者に暴露された400万砲里曚に、6,500万砲諒瞳鎧楡濂?氷事費を含む、総額1億8,700万法陛??量573億円)を提供する密約や、日本政府が米国に西山記者のスクープに対する口止めを要求した記録文書などである。

2011年9月東京高裁は、西山氏らの密約に関する外交文書情報公開請求訴訟判決で、密約文書の存在したことを認め、その上で文書を開示できないのは、外務省が破棄した可能性があるとした。
事実、米国の外交文書が公開された時期に、あわてた外務省は合計1,200鼎粒宛鯤現颪両撞兔菠をしている。

今週、特定秘密保護法衆議院を通過したが、この法律が成立すれば、違法秘密も保護に値することになり、田中・ニクソンロッキード売り込み密約なども決して表に出ることなく、永遠に外交秘密として保護されることになるだろう。先週21日、特定秘密保護法案を審議する参議院国家安全保障特別委員会で参考人として意見陳述した82才の西山氏は、「外交交渉の結論は全部、国民に正確に伝達しなければ、民主主義は崩壊する」と警告した。漏示が国家の利益に反する「真正秘密」と、時の政府の政治的利益のための「疑似秘密」、そして沖縄返還密約のような「違法秘密」は区別されなければならないのだ。