アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

アラファト毒殺犯

2004年75才で死去したアラファトPLO議長(Yasser Arafat)は病死と思われていたが、最近発表された証拠で毒殺と断定された。以前から毒殺疑惑があったが、昨年、死因究明のためArafatの遺体を掘り返し、仏露スイス3ヵ国の専門家がスイスの研究所で検体・土・遺品等の鑑定をしたところ、高濃度の放射性物質ポロニウム(polonium)210が検出されたのだ。この毒物は、通常はコーヒーや紅茶に混入させて摂取させるので、Arafatに近い人物が実行犯だろうと推測される。Poloniumは、2006年にロシアの治安機関の元職員(Alexander Litvinenko)が、亡命先のロンドンで、プーチンの手下に毒殺された事件でも検出されている。

パレスチナ内部にも和平を目指す人物を快く思わない勢力はあり、対立するイスラエルの当時の首相(Ariel Sharon)も「Arafatイスラエルに暗殺されるかもしれない」と発言していたから、毒殺されても不思議な話ではない。恐らく真犯人はイスラエルなのだろう。

そもそも問題のパレスチナの土地は、一体、誰のものだろうか。紀元前の時代、そこにユダヤ人が住んでいたが、約2,000年前のユダヤ戦争でユダヤローマ帝国に大敗して、祖国から追い出された。その後、移り住んだのがパレスチナ人だ。16世紀からはオスマン帝国が支配していた。20世紀になって第一次世界大戦で、そのオスマン帝国は英国に敗れ、パレスチナの地は英国委任統治となる。第一次世界大戦から第二次世界大戦と英国は戦費がかさみ、世界の大富豪ユダヤ人銀行家ロスチャイルド(Rothschild)に莫大な資金を提供してもらい、見返りにパレスチナの地にユダヤの祖国建設を約束した。第二次大戦で戦勝国となり、国連常任理事国となった英国は、パレスチナ人を追い出してイスラエルの建国を承認する。元々ユダヤ人が住んでいた土地だからユダヤ人に帰属すると。こうして1948年、英国の委任統治からイスラエルという国が誕生した。

2,000年近く住んでいたパレスチナ人は当然納が得いかない。北方領土(千島列島)には元々アイヌ人が住んでいた。第二次大戦後にわかにロシア人が住み始めたが、現状を受け入れるのは、アイヌ人・和人にとって納得いかないのと同じだ。パレスチナArafatは自分達がほぼ2,000年住んでいた地を分割して敵に渡し、その敵国イスラエルを承認する。同時に第二次大戦の戦勝国から引き継いだ地に建国したイスラエルも敵国パレスチナを承認する(Oslo合意、1993年)。こんな合意はパレスチナ人もユダヤ人も心の中では納得しない。ユダヤ人はパレスチナ人を一人残らずその地から追い払いたいのでArafatを毒殺したに違いない。この種の難問を解決するのは、武力でも要人暗殺でもなく、人種を離れて人間として付き合うしか方法はないのだろう。日中・日韓の問題解決に共通した、人類の永遠の課題だ。(国境がなくなれば自然解決する)