アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

孤独死

我が国の65才超高齢者の一人暮らしは500万人になる。男女比は1:3で女性の一人暮らしの方が多い。急病になったときに助けてくれる人がいない、環境の孤独が蔓延している。核家族化が進んで65才超高齢者夫婦だけの世帯も500万世帯あり、高齢者の二人暮らしは1,000万人になる。二人のうち一方でも健康であればさほど問題ではないが、高齢化が進んで、必要な時に、互いに助けることができない状態の夫婦では、同様の問題が起こり得る。

人はいずれ死ぬ。家族にみとられて世を去るのが幸せな死に方とすれば、女優、大原麗子(享年62才)のように、死後数日後に自宅で亡くなっているのを警視庁署員に発見されたという死に方はその対極をなす。著名な女優の余りにも孤独な最後である。昨年亡くなった歌手、藤圭子(享年62才、本名は僕の亡き母と同じ阿部純子)は、高層マンションからの飛び降り自殺だから、死後すぐに発見されたものの、実質的に一人暮らしをしていて、孤独に壮絶な最後を迎えた人だ。「十五、十六、十七と、私の人生暗かった」けれど、十八才で歌手デビュー、その後二度の結婚離婚を繰り返し、「過去はどんなに暗くとも、夢は夜ひらく」と教えてくれた当人が、自らの命を絶つに至るまでに、いろんな精神的負荷・苦痛が心を蝕み、うつに発展、やがて社会や周りとの関わりを拒み、孤立し、ついに孤独死へと繋がったのだろう。宇多田光という実の娘がいるのに、心は孤独だったに違いない。

数年前のNHK番組で、「無縁社会~無縁死3万2千人の衝撃」を放送していた。30代の男性が「おにぎりが食べたい」と遺書を残して餓死したという内容だ。2012年に東京23区内で孤独死した人の数は4,472人(65才未満も含む、男性3,057人、女性1,415人)。約10年で1.5倍に増えている。5年前(2009年)の統計では、死後2日以上経って発見された65才以上の孤独死高齢者数は年間26,800人、直近の推計では3万人を超えているだろう。

年間3万人の孤独死と3万人の自殺者、孤立死とも言われるが、日頃の会話がほとんどない、困ったときに相談できる人や頼れる人がいない、近隣とのつきあいがほとんどないなど、社会的孤立状態にある人の行きつくところだ。遺体を引き取ってくれる親族もいない場合は、行旅死亡人として、市区町村が火葬をしなければならない(行旅病人及行旅死亡人取扱法§7)。昔あった家族や地域社会とのつながり、このつながりをもう一度取り戻し、家族・地域社会で助け合い、支え合わなければ、孤独死の犠牲者は益々増えるばかりだろう。死後長期間誰にも気づかれず一生を終えるというみじめな孤独死は、人間の尊厳を損なうもので、死ぬ時は、せめて人間らしく死にたいものだ。