アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

象狩り発覚から国王も退位

スペインの国王Juan Carlos76才)は昨日、終に自分は国王を退位するとスペインRajoy首相に伝えた。後継者は長男Felipe王子(46才)。恰好よく自分の健康問題から早めに国王の座を息子に譲るというが、実体はスペイン国民から国王を解任されたようなものだ。経済危機真っ最中の2012年、アフリカ南部ボツワナに贅沢な象狩り旅行に出かけたことがばれて、国民と共にいない国王と言う印象を与えてしまった。彼は野生動物保護を掲げる国際的NGO非営利団体世界自然保護基金World Wide Fund for Nature = WWF)スペイン支部の名誉総裁だったが、野生の象を殺して楽しむのは、WWF名誉総裁にふさわしくないと、WWFスペイン総会で名誉総裁を解任された。この無責任国王は、2004年にもルーマニアで野生の熊のハンティングをして、その時は9頭殺していたり、ロシアでも熊狩りをしたりで、動物愛護団体からはWWF名誉総裁の看板に偽りありと糾弾されていた。
スペイン王室の信頼を失墜させる事件はこれだけではない。国王の次女Cristina48才)も今年1月から、脱税と資金洗浄の疑いで裁判所に出頭させられている。Cristinaの夫Iñaki Urdangarinは、自身が会長を務めるNPOに約87,000万円の公的資金を不正に還流させて横領した疑いで、訴えられている。彼の妻Cristina王女も、同NPOの役員に名を連ねていたから、夫婦で公金横領に関与していた可能性が指摘されている。スペインの王室では、こうしたスキャンダルが相次ぎ、王室に対する国民の信頼が低下している。スペインの国家予算において、王室一家の維持費は約11億円(€830万)。国民が疲弊している時に無駄遣いだという指摘はもっともである。
独裁者Francoが自分の言うなりになるなら、死後、国王として自分の後継者にするとJuan Carlos に伝えたのは、彼がまだ31才だった1969年のこと。その独裁者がようやく死んだのは1975年だから、6年間は、賢くも、従順に独裁者に従うそぶりを見せていた。しかし、独裁者の死後、彼はFranco党(Movimiento Nacional)を優先せず、その後の民主主義を実現した功績者でもある。国王に就任する際、彼は「法律、伝統、国民の意思」を尊重すると誓った。40年近く国王の地位にいると、国民の意思を無視して、国民が主権者であることを忘れてしまったのではないか。
今や彼の唯一の売り物は自分の「血統」だ。群雄割拠の15世紀のスペインは、1469年の王子と王女の結婚で全国統一の足がかりを作った。その後、Castilla王国のIsabel王女が女王になり、更にAragon王国のFernando王子が1979年、国王になるや、この二人はスペインを統一した。国外追放されたFranco以前の最後の国王Alfonso XIII世は、IsabelFernandoの直系の子孫であり、Alfonso XIII世の四男(Barcelona伯)の長男である問題の現国王Juan Carlosも、次期国王となるFelipeも、偉大なスペイン統一を成し遂げた二人の直系だ。願わくばこの貴重な血統がスペイン国民の真の統一に貢献してほしいものだ