アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

路上喫煙訴訟判決

最近、路上喫煙を条例で禁止し、違反した者に過料・罰金を科す自治体が増えてきた。東京都府中市、千葉県佐倉市兵庫県芦屋市等、路上喫煙禁止区域内で喫煙すると過料5万円以下となる。過去には、駅構内で喫煙していた者のタバコが幼い女の子のまぶたにあたり、救急車で運ばれるという事件が発生しており、人々の生活の安全を確保するためと、嫌煙権を主張する人々に配慮した条例だが、この条例に文句を付けた人がいる。
 
横浜市は路上のタバコポイ捨てに対して、罰金2万円以下、喫煙禁止区域内での路上喫煙に過料2,000円以下の罰則を設けている。喫煙禁止区域には、立て看板と直径30cmの路面表示があるが、外から初めて来た者には、喫煙禁止とは分かりにくい。平成24年、東京都の自営業の男性(64)が、横浜駅西口の喫煙禁止地区でタバコを吸いながら歩いていて、巡回する美化推進員に、市ポイ捨て・喫煙禁止条例違反を告げられ、2,000円の過料処分を受けた。
 
納得しない彼は「違反現場が喫煙禁止地区とは認識できなかった」として市に処分の取り消しを求め、裁判に訴えた。自分の進行方向からは看板が見えず、路面の表示も小さすぎて見えにくい。しかも、過料処分の記載もない、と主張して、「原告が喫煙禁止地区と認識可能な状態ではなかった」とする横浜地裁の判決を得た(横浜地判平26.1.22
 
今度は、納得しない横浜市が控訴して、先月26日、東京高裁で新たな判決が出た。裁判長は「注意すれば、現場は喫煙禁止地区と認識できた」として、処分取消を命じた横浜地裁判決を覆し、2,000円の過料処分が確定した(東京高判平26.6.26)。東京高裁判決によれば、喫煙禁止条例を制定する自治体の取り組みは、拡大してきており、あえて路上で喫煙する場合には、禁止地区かどうか充分に注意する義務があるというもの。また、問題の路面表示も、注意を怠らなければ認識できたとして、喫煙男性の過失を認定した。個人のたしなみはさておき、「知らなかった」との言い訳はもはや通用しなくなった。
 
我が家の近所の中学校では、保健の時間に喫煙の害を教えている。低年齢化している未成年喫煙対策だが、数年前、生徒指導の担任教師と校長が共にヘビースモーカーだった。先生が率先してタバコをやめて生徒に模範を示したらどうかと伝えたところ、自分達は成年なので、喫煙は法律で認められていると反論してきた。社会の時間に、20才になるまでタバコは吸うな、とは教えるが、保健の時間には、子どもにとっても大人にとっても、タバコは健康に有害だと教えている。タバコを吸っている教師が、君たちは未成年だからタバコは健康に悪いと教えても、人の物を盗るのは悪いと泥棒に教えられるようなもので、説得力に欠ける。いっそのこと、ブータン王国のように全国的禁煙を法律で定めてはどうだろう。(ブータンでは、自宅でのみ喫煙が許されるようだ)