アミのひとり言

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関電元副社長氏の告白

関電元副社長内藤千百里(チモリ)氏(91才)が生前に告白しておきたいと、先月まで合計69時間の朝日新聞記者による取材に応じた。彼は1947年京大経済学部卒業、関西電力(当時は「関西配電」)入社、1962年に当時の芦原社長(故人)の秘書になり、政財界とのパイプ役を約30年ほど務めた人物だ。少なくとも1972年から1990年までの18年間、在任中の歴代首相7人に「盆暮れに1,000万円ずつ献金してきた」と告白した。
 
関電独占地域の住民から徴収した電気代の中から、毎年盆暮れに1,000万円ずつ献金された7人の侍は、田中角栄三木武夫福田赳夫大平正芳鈴木善幸中曽根康弘竹下登の元首相(中曽根以外は故人)。一度首相になった人は、首相をやめたからといって金額を減らすわけにもいかず、現首相、元首相にも毎年盆暮れ毎に1,000万円ずつ、合計年2,000万円ずつ献金を続けた。他にも官房長官自民党幹事長、政調会長ら実力者と野党幹部にも1回200万~700万円献金したので、年間総額は数億円になったという。すべて原資は電気料金だ。
 
三角大福鈴中竹、もらう側は、関電が持って来る献金の原資が電気料金であることは、百も承知していた。これらを電気料金の原価に組み込み、電気料金改定の許可をするのは行政であり、行政のトップが首相だから、警察署長が泥棒集団の代表を務めているのとなんら変わらない。兵庫県の県会議員(野々村竜太郎)が政務活動費を私的流用していたのがばれて辞任に至ったが、この原資は税金だから、これらの元首相達も、泣きじゃくって言い訳をする兵庫県の県会議員となんら変わるところはない。
 
関電元副社長が今頃自分の過去の行為について自己批判をしたところで、歴史を変えることはできない。原発依存度が高かった関電が目指したのは東電だったというから、東電も同じような政界工作献金をしていたことは間違いない。その東電の福島第一原発で事故が起こった後の政府の対応が、あたかも献金を受け取っていなかったかのようなふるまいだったので、元副社長氏は献金を告白することにしたのだそうだ。
 
電力各社は1974年、「政治献金分まで電気料金を支払いたくない」という当時の世論を受けて、企業献金の廃止を宣言したが、関電はその後も十数年にわたって、政治献金を水面下で続けたとの証言だ。巨額献金により自由化をさせず、地域独占体制の継続を狙ったものだ。
 
僕は、三木元首相だけは清潔な政治家だと思っていたので、彼が汚れた献金を受け取っていたと知って大変驚いた。関電元副社長が三木事務所に現金を持って行った時のこと、元副社長氏のひざを触りながら「足りない」と言ってきたことがあったと証言したから、すっかりクリーン政治家の印象が消えてしまった。もう自民党にクリーン政治家は1人もいないし、もしいたとしたら、絶対に首相にはなれないだろう。