アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

米国低所得者層の反乱

昔、米国のハンバーガーショップなどで働く者は高校生・学生・20才以下の若者と相場が決まっていたが、最近は70%20才以上の成年者だ。しかも40%は子どものいる親というから、小遣い程度の収入で働いていては生計が成り立たない。さらに、成年者の成人の1/3は大学中退か既卒者というから、如何に若者の職業選択の幅が狭いか知れるというものだ。軍隊に行けばまともな収入は確保できるが、生きて帰ってくる、五体満足で帰ってくることができるか、神のみぞ知るの業界だ。
 
先週、全米150都市で、マクドナルドなどファストフードチェーン店で働く従業員が、賃上げと労働組合加入の自由を求めて大規模なデモ行進を行い、20人以上が逮捕されたと報道された。現行の時給$8(約800円)を$15(約1500円)に上げよと主張したのだ。週40時間、夏休みも取らずに年間52週働き続けても年収$16,600(約170万円)にしかならない。ファストフードチェーン社長の平均収入(約20億円)と比べると1:1,000以下の水準だ。
 
米国における4人家族の平均年間所得は$46,000(約480万円)、この半額の$23,000以下を貧困世帯と分類するから、マクドナルド、バーガーキングウェンディーズケンタッキーフライドチキンなどの大手ファストフードチェーン店現場で働く家庭持ちの従業員の大半は貧困層に入る。時給は10年働き続けてもほんのわずかしか上がらず、毎月の家賃も食費もかかるから仕事をやめるにやめられない。マクドナルド本社を今年3月に「賃金泥棒」と訴えた集団訴訟は、強制的サービス残業をさせられたほぼすべての従業員を代表したものだ。12,000店以上がマクドナルドとフランチャイズ契約を締結していた個人事業主だが、労働基準監督署National Labor Relations Board)は、マクドナルド本社と個人事業主の関係は、実体は共同事業者であり、本社は個人事業主の採用する労働条件に相当関与していると認めているから、この集団訴訟により、未払い賃金の支払い義務はマクドナルド本社にも発生するだろう。
 
米国連邦準備理事会が先週発表した統計では、米国の家計純資産の54.4%が上位3%の富裕層に集中している。過去25年で上位3%の純資産は44.8%からほぼ20%ほど増えている。富裕層以外の97%の米国人の純資産がその間20%ほど減少したということになる。今週になってWalt DisneySony Picturesなど業界大手5社は、賃金抑制のため引き抜き自粛の共謀と、提示する給与水準の横並びを図っていたとして、総額3.2億㌦(約330億円)の集団訴訟を起こされている。低所得者層のみならず、中所得者に所属すべき富も、こうして徐々に上位3%の富裕層に集中するようになっているようだ。この傾向を変えなければ米国の復活はありえない。