アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

イスラム国の台頭?

イラク・シリアで強大な勢力の過激派組織が現れた。その脅威は源流の国際テロ組織アルカイダの比ではない。単なるテロ組織ではなく、イラク・シリアにまたがる広大な面積を、厳格な「イスラム教の国」(Islamic State = IS)と主張する「国家」である。支配面積はほぼ英国の面積と同じ。支配地域の油田も管理しているから資金も潤沢に持っており、失業中の若者に給料を払って兵士をどんどん増やしている。最近の兵力は3万人程度と言われ、その20-30%は外国人と推測される。
 
この一味は昨年7月、イラクBagdad近郊の刑務所2カ所を襲撃し、500人ほどの受刑者を脱獄させ、武装勢力の戦闘員や幹部が多数脱獄できて、今のイスラム国の兵力になっている。今年になって6月にはイラク第二の都市Mosulの刑務所を襲撃して、約3,000人の受刑者を脱走させ、その多くをイスラム国の兵力にしている。世の中、仕事がなく、従い金もない若者は世界中に沢山いる。そんな若者を金で引き寄せているのもイスラム国の特徴だ。インターネットを使った巧みな宣伝術をもって若者を引きつける。既婚の者が軍隊に入ると、家具つき住居と一時金$1,200をもらう。妻一人につき月額$100、子ども一人につき月額$50の家族手当がつく。
 
シリアの独裁者アサドを倒すため各国は反アサド派に武器・資金を与えたが、この一部がイスラム国に流れ込み、イスラム国は欧米の近代兵器を所有している。米軍がイラク撤退に際して、イラク政府に残した最新鋭の兵器・武器、戦闘服(tactical vestを含む)、暗視ゴーグル、Black Hawk(多目的ヘリコプター)などは、イスラム国がイラク軍から奪って武装している。
 
更に、銀行強盗、身代金目的の誘拐、武器の転売、麻薬の密売等の資金源のほか、イラクでは油田地帯を支配下に置き、一日当たり3万バレルに近い原油を海外に売っているというから、一日当たり2億円以上の原油収入があることになる。一部の外国人については、見せしめのため、斬首の映像を公表したりして、確実に身代金を獲得すべくインターネットを駆使している。イスラム国の資金力は従来のどのテロ組織よりもはるかに優れている。
 
そのイスラム国の残忍さ・残虐さはアルカイダの比ではない。先月イスラム国はシリア北東部においてシリア政府軍の空軍基地を制圧、この時、シリア政府軍兵士500人を捕らえ、のうち160名を処刑し、その処刑映像を公開した。イラク北部では少数派のキリスト教徒やクルド人少数派ヤジディ教徒に改宗を迫り、拒否する者は皆殺しにしている。またこれら異教徒の女性は性奴隷にされているとの情報もあり、国連は先月時点で少なくとも1,500人の性奴隷が解放すべき対象であると発表している。アサド打倒のための攻撃を断念したオバマ大統領は、ついにイスラム国を殲滅するため、イラク・シリア空爆を始めた。遅すぎでも傍観よりは、はるかにましだ。