アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

英語教師から中国一の大富豪に

先週New York証券取引所に上場した中国最大のinternet通販企業「Alibaba」が世界を驚かせている。新規株式公開で米国史上最高額の$250億(約2.7兆円)を集めたからだ。新規公開から1週間たって、いくらかご祝儀相場が落ち着いたといっても、その時価総額は約24兆円だから、トヨタ時価総額22兆円の上を行く。魔法のAlibabaだ。
 
この会社を始めた人物は現在49才の馬雲(Jack Ma)。英語教師だった彼は15年前、34才の時、米国でSocial Network(いわゆるSNS)というものを見て、世界の将来はinternetだと悟り、思い切って教師をやめ、仲間17名と自宅アパートの一室でinternet商店(Alibaba.com)を立ち上げた。だが、この馬先生、破天荒の人生を歩んできたという通り、中国一の大富豪になるまでは、失敗・挫折の連続だったという。
 
子どもの頃の成績は悪く、中学も高校も三流どころか四流の学校に進む。特に算数・数学の勉強が苦手だったそうで、高校受験は2回失敗している。大学入試は3回失敗、大学入学統一試験で数学の成績は1度目が1点、2度目が31点、合格の見込みなく、三輪自転車の運転手になった彼が、たまたま読んだ「人生」(路遥著)という題の本に「挫折を乗り越えた者こそ人の上に立てる」と書いてあるのを見て再度大学に挑戦する決意をする。三浪してやっと広州師範学院英語科に入学できた。志願者数が定員割れという幸運もあった。毛沢東共産党時代から、鄧小平の改革開放時代になった1980年代、10代の馬少年は自宅近くのホテル(杭州大酒店)に外国人観光客が出入りしていたのを見て、彼らに無料で観光ガイドをしてあげることで英語を練習し、英語だけは得意になっていた。鎖国していた中国が世界に向けて開放を始めた頃だった。
 
大学を出て、就職活動で30回以上も苦杯を喫した彼は、学校で英語の教師をしながら生計のため通訳の仕事もしていた。15年前仲間と立ち上げた仮想商店Alibaba、今や時価総額トヨタをも抜く巨大企業になって、全米でも上位10社に入る勢いだ。社員22,000人、中国のinternet取扱高の80%を占める巨人になった。今年第一四半期(3カ月)の取扱高は約7兆円、これは年間換算で、中国のGDPの実に2%に相当するが、Alibabaの成長率は前年同期比40-50%増。どこまで成長するか誰もわからない。Amazon楽天も到底太刀打ちできない。
 
Softbank孫社長)は創業時のAlibaba20億円出資して32%の大株主になっている。この出資金は時価8兆円になっているから、14年で4,000倍になった計算だ。American dreamという言葉があったが、この元英語の先生はAmerican Chinese dreamの体現者だ。決して失敗を恐れてはならない。