アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

義父の死に思う安楽死

ちょうど一週間前の今日、義父が85歳の生涯を閉じることとなった。約6年前、悪性リンパ腫抗がん剤治療途中で死にかけ、市民病院の医師から余命一日と宣告されたことがあったから、それから6年間、イエス・キリストのように復活したのは、奇跡なのかもしれない。数か月前まで軽トラックを運転して、夫婦で毎日、スーパーに買い物に行っていたし、亡くなる日の昼食も自宅で何とか自力で食べたのだから、体調が悪くなって病院で過ごした時間は半日しかなかった。食べるのが趣味だから、先週月曜日の夕食以外、食事は欠かさず食べて生きてきた。
 
緩和ケア病棟に入院した義父は夕刻から体調が急変し、医者から家族を呼ぶようにと言われ、深夜11時半亡くなるまで、家族と親しい親族がそばで見守った。最後は生きているのか生きていないのか区別つかない状態で、担当の医師から「死亡」と宣告された。死因は肝臓癌だが、悪性リンパ腫から、癌は肺・肝臓などあちこちに転移していたようだ。肝臓が破裂したようなCT画像から、相当痛かったはずだが「緩和ケア」により、本人はあまり苦しまずに亡くなったように見えた。
 
緩和ケアは医師が処置してくれるものだが、米国で先月話題になった29才の女性は、医師に余命6か月と宣告され、苦しみに耐えられないとして「安楽死」を選択した。末期脳腫瘍(terminal brain tumor)と宣告されたBrittany Maynardさんは、1年前に結婚したばかり、その直後、脳腫瘍が発見され、今年4月には、余命6か月と告げられた。定期的に襲ってくる痛みから解放されたいという願望と、最愛の母・夫など親しい人たちから別れたくないという気持ちの葛藤が続いたが、夫の誕生日(1030)を祝った2日後の111日に、医師から処方された薬で自ら命を絶つ、安楽死を選んだのだった。
 
この死に方は「医師による自殺幇助」(physician-assisted suicide)と言われ、彼女の住んでいたCalifornia州では認められていない。尊厳死法は、現在全米5州で合法化されていて、1997Oregon州で最も早く合法となった。夫婦はOregon州に移住し、そこで先月安楽死を実行したのだ。若い人の安楽死宣言とあって、米国各地から、安楽死を非難する手紙が彼女のもとに殺到した。同じ末期脳腫瘍を患う女性Maggie Karnerさん(51才、家族は夫と3人の娘)のvideo messageも公開されているが、その中でMaggieさんは、自ら命を絶つのは間違いだと訴えた。
 
神から与えられた命を人間が勝手に絶つことは許されない。Maggieさんも、安楽死を選択した29才の女性と同じ頃、余命6か月と医師に宣告された。年齢こそ違うが同じ境遇である。でも、もしかしたら、1日、1か月、あるいは1年ほど長く生きられるかもしれない。与えられた命を最後まで全うするのが、家族や友人たちに対する愛情ではないか。イエス・キリストだって、死に方は尊厳死とは程遠い。死は生の一部であり、連続しているものだから、人間が人為的に切断するのは間違っている。自然死(Natural ending)こそ正しい人生の終わり方だという考え方に対して、義父の緩和ケアがどれほど自然だったのか、ふと考える良い機会になった。