アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

国際的節税企業の非道徳性

Starbucks, Google,Amazon, Apple, Microsoftなど、世界的企業は、世界中で一番税金の安い国で納税し、納税額の最小化に努めている。節税できた分だけより多くの利益が会社に残るから、創業者一族の個人収入は限りなく増える。節税は違法ではなく、税金の安い国で納税していれば、税金の高い国で脱税の罪に問われることもない。今月になって、2015年版Forbesの世界長者番付が発表されたが、世界の億万長者(billionaire、資産額$10億超、約1,200億円)の数が過去1年で268人増え、1,826人になったとのこと。(この中に日本人は24人入っている)

 
億万長者の総資産額は過去1年で約10%増えて、$7500億(約846兆円)、1,826人の億万長者の資産は世界中の全人類の個人資産の約3%に相当する。世界的にみると、上位1%の人口が占める富は全人類の富の49%、来年には丁度50%になると予想されている。格差社会の根源は一部の人間による富の集中である。相続によって億万長者になった者のほかは、長者No. 1Bill Gatesのように企業の創業者だ。正々堂々と実力で勝ち取った財産と言える。
 
しかし、能力と運のある者が富を蓄積し、違法でない限り、極限まで節税して富の最大化を図ることが問題だと提起されている。たとえばコーヒーチェーンのStarbucks、英国に進出以来14年で約3,840億円の売り上げを計上したが、その間の法人税の支払額は、たった11億円、しかも、2008年以降は全く英国の法人税を支払っていなかったと指摘された。その手法は、英国のStarbucksが、いずれも軽課税国であるオランダやスイスに所在する関連会社に支払うコーヒー豆の英国への輸入の対価や商標権の使用料などを多額にして、英国における利益を圧縮していた、というのだ。
 

Google,Amazon, Apple, Microsoftなどは、知的財産権を軽課税国であるIrelandに移転し、ライセンスについてはオランダを経由させ、最終的な利益についてはほぼ課税がないtaxhavenである英領Bermuda諸島やCayman諸島などに環流させ、節税を行っている。Googleが拠点を置く米国California州の実効法人税率は40.75%だが、Googleの海外事業に関する実効法人税率はたったの2.4%だ。これを「税源浸食・利益移転」(Base Erosion & Profit Shifting = BEPS)と称して、OECD租税委員会、G7G20などの場で是正しようという動きが始まっている。いわゆるグローバル企業が、税制の隙間や抜け穴を利用した節税対策により、税負担を極端に軽減している状況を訂正し、実際に経済活動が行われている場所での適正な課税を確保しようというものだ。

 
かくして、一部の超富裕層と大多数の貧困層の格差がますます拡大し、果てしなく増え続く貧困層の存在がグローバル社会問題化している現状がある。合法か非合法かの法的判断の問題ではなく、純粋に国際政治政策の問題である。世界の政治家が結束して、グローバル企業の税金逃れを禁止しなければ、人間の社会は崩壊に向かうだけだ。