アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

国連安保理の賞味期限

今年は国連創設70周年記念の年だが、第二次大戦後70年で国際情勢は大きく変わりすぎ、今や国連の賞味期限が切れつつあるように思われる。国際連合の前身「国際連盟」は、第一次世界大戦戦勝国が中心に作ったものだが、次の世界大戦で使命を終えた。第二次世界大戦戦勝国が中心に作った国際連合は、第三次世界大戦終了後にその役割が終わるはずだったが、その世界大戦は、幸いにも未だ実現せず、従って、現実には賞味期限切れのような国連が、世界の難題を未解決のまま放置している現実がある。
 

19456月、SanFrancisco 会議で採択された国連には、全加盟国で構成する国連総会における多数決で決定することとし、重要事項については2/3の絶対多数で決めるとある。但し、世界の安全と平和を維持する目的である安全保障理事会決議は、全加盟国を拘束するため、拒否権を持つその常任理事国5か国(米露中英仏)の一国でも反対すると、何も決まらず、何も決めないことが全加盟国を拘束するから、国連総会も有名無実となる。2005年には、日独印伯4か国が常任理事国入りを目指して、安保理改革草案を提出したが失敗に終わっている。何を決めるにも米露中英仏5か国が承認しなければならないということは、世界の安全と平和の維持に関しては国連は何も決めることができないということだ。

 
国連創設以来、ソ連/ロシアの拒否権行使は100回以上に及び、米国も80回以上に及ぶ。自国の利害がある案件について、害がある時はすかさず拒否権を行使するから、正義を実現するのは不可能だ。もともと、ソ連が崩壊した時にロシアが常任理事国を引き継ぐのが間違いであったし、蒋介石の台湾から共産党中国に移すのも間違いであった。このような間違いを見過ごすから、安保理は何も決定できない組織になってしまったと言える。
 
戦後70年を経過して、未だに「戦勝国」に拒否権という特別の権力を付与する理由はない。仏英を中心に、大量虐殺のような犯罪行為に歯止めをかける事案に関しては、拒否権を認めるべきでないと主張しているが、もっともだ。しかし、米露中が既得権である拒否権を放棄する可能性はゼロだ。化学兵器を使って大量虐殺を行ったシリアに国連が介入すべきだったが、アサドの友人Putinが拒否権を行使して実現しなかった結果が、今のISの無差別テロの原因ともなっている。
 
賞味期限の切れている安保理の信用性と正統性を取り戻すため、国連70周年を機に、新国際連合を作る時期に来ている。旧戦勝国5か国の絶対的権利を永久不滅と定義した国連は、もはや間違いであり、世界の安全と平和の維持にとって、害こそあれ利益はないと断定できる。