アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

作家・酒鬼薔薇聖斗

酒鬼薔薇聖斗の名で犯行声明を出していた当時14才の少年Aは、現在32才、最近、事件に関する本『絶歌』を出版した。当然のことながら被害者遺族は出版中止を出版社に求めたが、太田出版言論の自由を盾にこれを無視して、初販10万部は完売した。著者の印税収入は1,500-2,000万円程度と言われている。これから重版がかかって20万部、30万部と増刷されていけば、5000万円以上の収入になる。
 
1997527日朝、神戸の中学校正門前に切断された子供の頭が置かれ、口に犯人が詰め込んだ犯行声明文が挟まれていた。その後新聞社に届いた第二の声明文を読んでも、どう見ても子供の仕業とは考えられないような文章だった。「自分の存在を世間にアピールするために殺人を犯した。」「あなた達の空想の中でだけでも実在の人間として認めていただきたい。」「透明な存在であるボクを造り出した義務教育と、義務教育を生み出した社会への復讐も忘れてはいない。」など、どう考えても14才の中学生の書く文章とは思えない。警察も犯人像を30-40代の男とみていたから、犯人逮捕に時間がかかったのもうなずける。どこかの本からの引用もあるのだろうが、この少年Aは当時から文章を書く才能はあったのだろう。
 
結局、2月から5月にかけて2人を殺し3人に重傷を負わせた犯人は、近くに住む中学生と判明した。彼は、犯行当時14才で、刑事責任を問う年齢に達していなかったため、保護施設である「少年院」で特別の矯正教育を受けた。前科はつかない。猟奇殺人事件の犯人は、成人するまでの6年間少年院で過ごした後、新しい身元引受人と養子縁組して名前を変えたほか、出生地や学歴など偽のプロフィールも用意し、現在は、東京都郊外にある団地に、同年代の恋人女性と一緒に住んでいるらしい。
 
米国にも似たような未成年者犯罪事件があった。1991年、17才の女子高生だったAmy Fisher(正式名はElizabeth Fisher)は、付き合っていた男性の妻(Mary)の頭部を拳銃で撃ち殺した。未成年につき5-15年の不定期刑を言い渡されたが、刑期7年で出所、その後自分の起こした殺人事件に関する本を執筆して作家デビュー、新聞社のコラムニストやテレビのコメンテーターなどの仕事に着いたり、美貌を生かしてポルノ女優として売り出したりと大活躍のようだ。米国では誰でも知っているAmy Fisher(現在41才)の名前で出ている。結婚して子供も3人いる。
 
米国には、自分の犯した犯罪をネタに本を出版したり、映画にしたりして商業化すると、その利益は被害者救済に回されるという法律がある。David Berkowitzという男が、若い女性など6人を射殺して、「酒鬼薔薇」ではなく”Son of Sam”と署名した手紙を送り付けて、ニューヨークを恐怖に陥れた。この男は、1978年に懲役365年の判決を受け、服役中だが、この事件にちなんでSon of Sam law(サムの息子法)という。類似の法律が日本でもできれば、少年Aの印税は被害者救済に回される。少年Aにいくら文筆の才能があっても、『絶歌』で作家デビュー、金儲けされては、遺族はたまったものではない。