アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

北朝鮮:恐怖政治から亡命者続々

金正恩による無慈悲な部下の殺害をみて、恐怖感から北朝鮮を脱出する者が相次いでいる。今月2日には、江界(カンゲ)微生物研究所に所属する研究員男性(47才)が、先月フィリピンを経てフィンランドに亡命したことが、韓国の北朝鮮人権団体の発表で明らかになった。この研究員はサリンガスなど生化学武器の開発を担当していて、昨年、中国の医療機関に派遣されていた時に知り合ったベルギーの人権団体に、自分のやってきた研究を暴露し、亡命を援助してもらっていた。
 
 彼は、「江界研究所だけで1年に200人余りの北朝鮮住民を、殺人ガスと炭疽(たんそ)菌の性能強化試験に利用した。」と述べ、「実験対象になった北朝鮮住民を研究所地下2階にあるガラス室に閉じ込めて、サリンガスの実験を行った。国家保衛部が政治犯キリスト教信者を実験対象として供給した。」ことを明らかにした。今月の欧州議会で、生化学武器の生体実験資料を提示するなどして、非公開で証言を行うことになっている。自分の研究に対し疑問をもったというのが亡命の理由だが、いつ何時、自分が実験される側に回されるかもしれないという恐怖から亡命したというほうが正しいのだろう。
 
北朝鮮軍需産業を担当していた高位要人が最近韓国に亡命したという。この人物は、北朝鮮の軍需経済全般を掌握する第2経済委員会に所属していた。北朝鮮第2経済委員会は、北朝鮮内閣よりも強力な権限を有しているため、核やミサイルなど北朝鮮軍需産業全般にわたって相当な情報を把握しており、韓国にとっては、敵の最新の内部情報を知る有力な情報源になる。北朝鮮軍上将の朴勝元は、4月に北朝鮮を脱出し、モスクワにある第三国の大使館を通じて韓国に亡命した。彼は2000年に韓国南部・済州島で行われた南北国防相会談に、北朝鮮次席代表として参加したした人物だ。(北朝鮮の「上将」は、韓国軍の「中将」に相当する。) 張成沢(チャン・ソンテク)とか金慶玉、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)など、側近中の側近までもが、火炎放射器で残忍にも処刑されるご時世だ。金正恩に近ければ近いほど、内部の地位が高ければ高いほど、次は我が身と心配するのは当然だ。
 
 今年に入って、中国や東南アジアなど海外に派遣されていた幹部や外貨稼ぎの担当者ら十数人が、相次いで亡命したことも判明した。この中には、金正恩(第1書記)の裏金を管理する幹部も含まれている。1月に香港に派遣された際に家族とともに亡命したという。当然、生涯金銭には困らないような大金を手にしている。金正恩による、高射機関銃を使った残忍な処刑などに恐怖を感じたというのが、亡命の理由だ。
 
 金正恩による大量幹部処刑は、金正恩に近い「近金派」と、金正恩と距離を置く「遠金派」の勢力間対立から来るという説がある。近金派は張成沢のように、正恩の叔父として、青二才の政治家を操り、自分の好きなようにしようとするグループ、遠金派は政治の世界を何も知らない正恩を「雇われママ」と持ち上げて、これまた自分たちに都合のいいことばかりしようとするグループ、どちらのグループが力を持ったところで、金正恩北朝鮮は絶対に良くならないことは確実だ。