日曜日の選挙でスペイン・カタルニア州議会135議席のうち独立派が72議席を獲得、カタルニア独立に第一歩と喜んでいる支持派住民の姿がテレビに映っていたが、我が国だって市町村合併の時代、今時人口740万人のカタルニアがスペインから独立、EUを離れて成り立つはずがない。もともと、スペインは一地域の独立を認めておらず、カタルニアがEUに加盟しようとすれば、スペインを含む全加盟国の承認が必要だ。分離独立を認めないスペインが承認する見込みはなく、EU経済から独立したカタルニアは生き延びることができない。通貨ユーロを使い続けることも認められなくなるからPesetaに戻るのか、不都合、不利益のほうが中央政府に税金を巻き上げられているという現状よりもはるかに大きいことがわかる。
ヨーロッパにはカタルニアのような分離独立運動が続いている地域がある。英国から独立しようとしている北アイルランド、キプロスから勝手に分離独立したと主張する北キプロス・トルコ共和国。経済的にカタルニアは、これらの地域よりは自立しているかにみえる。しかし、EUという後ろ盾があっての話、勝手にスペインから飛び出して独立したところで、現状維持できる保証は何もない。
イタリアにも南北問題はあり、北は南を養っていると感じているから、ミラノを含むLombardia地方は独立したらどれほど裕福な生活ができるかと思っている。しかし、同じLombardiaの中にも、経済格差はあり、税金を納めすぎと思っている住人と、誰かが納めすぎた税金の恩恵を被っている住人がいるはずだ。カタルニアは、自分たちがスペインの他の地域の住民の面倒を見すぎという不満を持っているが、カタルニアの中にもたくさん税金を納めている者と、ほとんど納税していない者がいる。神様は人間を平等に作られたそうだが、結果的には大きな不平等が現実にあり、恵まれない者を助けるのは、恵まれた者の義務でもある。親族間の扶養義務のようなものだ。ケチなことを言って独立しようなどと言うよりも、スペインの枠組みの中で努力するほうが自分のためになるように思う。
ドイツ人が、ギリシャを支援させられるのは納得いかないというのも似たような発想だろう。ギリシャは自動車を一台も作らないからドイツ車が売れる、その結果ドイツの経済が潤っているというのも現実だ。もっとも、ギリシャの場合は、政府があまりにもずさんな国家運営をしているから、そのままではEUの扶養家族にしませんよと警告する必要はあると思うが。