アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

教育費破産急増対策

日本の大学の授業料は、昔は安かった。1968年入学の時は、国立年間12,000円(他に入学金4,000円)、それが今は54万円にもなり、文科省2030年には93万円になると予想している。私立大学の平均は86万円というから、よほど経済的余裕のある家庭でなければ、私立大学に子供をやれないはずだ。ヨーロッパ各国の大学生はほぼ90%以上国公立大学に行くので、授業料の高い私立は一部の富裕層に限られる(北欧4カ国やドイツなど国立大学の授業料はほぼゼロ)。日本は大学生の25%しか国公立に行けないので、75%の学生は入学金・授業料の高い私立に行く。(アメリカだって国公立は70%、私立大学の学生は30%に留まる)
 
40代の勤労者世帯の平均年間給与に対する授業料の比率は国立で9%、私立で14%になる。親も他の子どもたちも生活があるので、半分以上の大学生は奨学金という借金をする。アンケートでは、51%の学生が、奨学金なかりせば大学に行かせてもらえないと答えている。独立行政法人日本学生支援機構(昔の育英会)の奨学金は、ごく一部が無利子貸与型(第一種)で、大半は有利子貸与型(第二種)だ。大学4年間、月額10万円の奨学金を借りると卒業時点で返済総額700万円の借金を背負って社会に出ることになる。毎月2万円ずつ返済して30年、人生、文字通りマイナスからのスタートだ。22才で大学を卒業して返済義務から免れるのは52才、自分の子どもが奨学金を借りるか返済する時期でもある。こうして、大学の授業料で生涯返済というハンディキャップを負うことになる。
 
それでも、大学卒業後、毎月2万円ずつ返済できる人はまだましとも言われる。大学は出たが、まともな就職先が見つからず、予定通り返済できない人が急増しているというのだ。奨学金返済延滞者(一部猶予を受けている人も含む)は48万人、この数字は毎年確実に増え続けている。日本学生支援機構の統計では、2015年度は約134万人が利用して、貸与額の合計は約1.1兆円にのぼり、利用者の人数も貸与額も毎年増え続けているという。

地下資源のない日本には、人間という資源に投資するしか発展の見込みはない。それなのに教育に対する公的支出はOECD加盟国中最下位だ。大学授業料の公費負担率でみると、OECD加盟国平均73%に対して我が国は半分以下の32%。人間に対する投資は自己責任と言うばかりで、投資資金の一部は貸与する。ひるがえって欧米の奨学金の主流は贈与型、返済不要だ。もちろん、成績、家計の経済状態など条件はあるが、希望者誰にでも貸与するというのが公平な社会とは言えないはずだ。
 
ウイッツ青山学園高等学校のようなほとんど実体のない通信教育の学校が、学生一人当たり年額約30万円の就学支援金目当てに、1,200人もの高校生を集めていた事件が報道されているが、私立大学の一部にも、国の私学助成金目当てだけのブラック大学もある。この辺の私学助成金をゼロにして、国公立とまともな私立大学に運営費交付金助成金を集中すべきだ。そして、奨学金の半分くらいは贈与型にすべきだ。投資分はいずれ形を変えて国に戻ってくるのだから。