アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ロンドン市長に初のアジア系

先週行われたロンドン市長選挙で、史上初めてアジア系市長が誕生した。59日就任したパキスタン系のイスラム教徒Sadiq Khan45才)だ。英国は白人の多い国で、白人の人口比率は87%になる。インド・パキスタンなどアジア系、黒人、その他の非白人人口は13%しかない。新ロンドン市長少数民族minority)の中から選ばれた稀な人物だ。米大統領BarackObama氏もアメリカの少数民族から選ばれているが、米国の非白人比率は37%(ヒスパニック系白人を含む)だから、英国ほど極端な少数民族ではない。
Sadiq Khan新市長の両親は、彼が生まれる少し前にパキスタンから英国に移民してきた。父親はバスの運転手、母親は洋裁をして生計を助けていた。子ども8人の5番目に生まれた彼は、貧しい家の出ながら法律を勉強し、人権派弁護士になった。法律で人々を助けるには限界があると、法律そのものを作る国会に乗り出す必要を感じ、2005年下院議員に当選、国政に進出した。この動機は、リンカーンが弁護士から政治家を目指したのと重なる。労働党の代議士として運輸担当閣外大臣も経験している。彼の妻もパキスタン移民の子で、同じ法学部の同級生だ。妻の父親の職業もバス運転手というから、夫婦とも正真正銘の労働者階級の出だ。

彼は選挙戦の最初から弱者の味方を謳ってきた。世界の富裕層がロンドンで不動産に投資するので、不動産相場が上昇し、今や庶民が市内で住宅を買うことはできない。経済格差はますます広がり、選挙民の不満は爆発寸前だ。2008-2016年の2期務めた前市長Boris Johnsonは市民の不満解消のため、年間24,000戸の住宅を供給した実績を誇る。毎日65戸の住宅を市が作ったことになるが、彼は不動産業界に明るい人物だったから、そのコネも使ってこのような実績を上げることができたのだと言われている。

選挙民の誰もが知る労働者階級のKhan新市長は、自分が市長になったら年間80,000戸の住宅を作ると約束した。毎日220戸作るというのだ。生活に苦しむロンドン市民も若者も、自分たちの気持ちがよくわかるKhan候補の方が、自分たちの味方だと知って、あえてイスラム教徒でもアジア系でもパキスタン移民の子弟でも、期待の持てない白人候補よりよほどましと判断した。庶民の給料が上がらない中で、2010年、国会は議員報酬を多数決で値上げしたが、Khan氏らは、値上げ分を受け取らなかった。現東京都知事とはかなり違う言行一致の政治家なのだ。

ロンドンの地下鉄料金は、いつも、大阪に比べて高いと感じる。その地下鉄料金も、値上げしなければやっていけない現状にあるという。Khan氏は、自分が市長になったら、少なくとも4年間は値上げしないと約束した。橋下市長が、大阪の地下鉄料金を下げると約束して本当に下げたようなものだ。これだけ政治公約の実現可能性が高い候補者は、是非とも市長になってもらわなければならない。国民の税金で正月の家族旅行に行き、「会議費」として虚偽の報告している東京都知事などとは人格が違いすぎる。東京都民も、Khan氏のような首長を選びたいと願っていることだろう。