アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

英国はEUから出ていくのか

英国がEUから出ていくのか残るのか、これから国民投票が始まり、日本時間明日には結果が判明する。EUは、1958年、元々西独・仏・伊・BENELUXの6カ国で始めたEEC欧州経済共同体)を起源として、1973年に英国がIrelandDenmarkと共に途中から加盟させてもらった経緯がある。EEC及びEU発足の最大の目的は、戦争のない平和な欧州を実現することにあった。今やEU28カ国、人口5億人の巨大な国家集団だが、人口第三位の英国が短絡的発想から、EU離脱(Brexit)を主張する一派が、有権者の半分近くに達する状況になり、ついに国民投票で決着をつけることになったのだ。
EU離脱派の主張には、ほとんど根拠がない。主な争点は移民、EU拠出金負担、英国の国家主権の三点だ。ヒト・モノ・カネの移動が自由なので、英国には年間30万人を超える人が入ってくる。その結果、自分たちの仕事が奪われるというのだ。しかし、外人労働者に仕事が奪われるのは、単純労働に従事する者が主体であり、いい仕事についている外国人が納める税金は、失職したと文句を言う英国人労働者の納税額よりはるかに多い。移民に対する国の負担も、外人労働者の納税額を充分下回っている。
第二にEU拠出金負担が年間約1.3兆円(£85)にもなり、英国がEUから離脱すれば、この金額分の国庫収入が増えるという主張だ。しかし、実際は、EUから多額の農業補助金など還付金を受けているのみならず、単一市場の中で、貿易・金融面などで拠出金以上の恩恵を受けている事実を無視している。英国の輸出の45-50%EU向けであり、もし、英国がEUから離脱すれば、即、英国の輸出が計り知れない打撃を受ける。現にEU市場に販売するために英国に工場を持っている製造業は、徐々に英国外のEU各国の工場を拡張して、英国の工場は、英国市場だけの規模に縮小するだろう。EU離脱は自分の首を絞めることになることに気が付いていない。
第三の国家主権、これこそ、欧州で戦争を起こさないための最低限の制度なのだ。今でも英国は自国通貨に固執しており、EU金融市場に並びポンドの金融市場を維持している。しかも、英国系のtax haven租税回避地)をたくさん抱えており、国家主権の美名のもとにtax havenを使った巨大なヤミ金融センターの中心部がLondonCityだ。国家主権が限りなく剥奪されれば、自由が利かなくなり、正々堂々と不正ができなくなるとでもいうのだろうか。EUに縛られず、英国は独自の立法権司法権を行使すべきと主張するEU離脱派は、Scotland国民投票で独立することを歓迎できるのだろうか。
歴史を逆戻りさせるほど愚かなことはない。一度正式にEUから離脱すると、二度と戻ることはできなくなる。「離婚後の再婚はない」とCameron首相も最後のEU残留演説で述べている。離脱派は、離脱するとバラ色の将来が待ち受けていると説くが、真実はその逆で、いばらの未来が待ち受けているだろう。そして、後世の歴史家が、大英帝国の終末はEUからの離脱に始まると記すことになろう。Donald TrumpPutinも英国のEU離脱を心から待ち望んでいる。彼らが喜ぶようなことは善ではないと悟るべきだ。