アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

プーチンは北方領土を返すか

12月、山口でプーチン・安倍首相の会談が実現することになり、北方領土問題が進展するかもしれないという期待がある。ソ連北方領土を占領した状況はまさに火事場泥棒だ。当時日ソ間には日ソ中立条約があった。1941.4.13締結の条約の期限は5年間、その後も5年間自動延長となっていたが、一方が1年前に通告すれば5年で終了する内容だった。ソ連は終了期限1年前の1945年、自動延長しないとの通告をしてきたが、5年経過以前に破棄できる内容の条約ではなかった。従い、1945.8.289.5、泥棒(ソ連軍)が北方領土に不法侵攻(上陸)してきた時期は、1946.4.13まで有効な中立条約があった時だ。
 
歯舞・色丹は地理上も北海道の一部であり、日露和親条約1855)で国後・択捉は日本領土としたもので、戦後日本が領有権を放棄した千島列島の一部ではない。ドイツとソ連19411945年、凄惨な戦争状態にあり、兵士・民間人の死者はソ連2,0003,000万人、ドイツ側6001,000万人と言われているから、当時のソ連は日本と戦う余裕は全くなく、どうしても日ソ中立条約が必要だった。そのドイツが降伏したら余裕が出てきたので、途中で破棄できないはずの条約を一方的に事実上破棄して、北方領土を取り込んだのだ。
 
あれから71年、安倍・プーチン共に生まれる前に起こった出来事だが、自分たちが存命中に解決しないと、未来永劫、解決はますます難しくなる領土問題を取り上げることになった。ロシアは17カ国と国境を持っており、プーチンは大統領になった2000年以降、中国、KazakhstanAzerbaijanUkraineNorwayLatviaEstoniaなどと国境問題を解決した実績がある。中国と2004年締結した中露国境協定では、国境沿いの二本の川の合流点にある二つの島の帰属について、タラバーロフ島(中国名「銀龍島」)は中国に、大ウスリー島(中国名「ヘイジャーズ島」)は東西に二分割し、西半分を中国に、東半分をロシアに帰属させるとしている。
 
中露国境協定に似た合意ができるとすれば、歯舞・色丹を1956年日ソ共同宣言に基づき日本に帰属させ、国後・択捉をプーチンの言う「引き分け」にするのだろうが、いずれにせよ、ロシアが経済的に窮地にある時期に合意に持っていかなければ、いつまでたっても問題は解決しない。しかも、2014年のCrimea併合に抗議して欧米が対露経済制裁を課している間に、日本が巨大な経済協力をしたとなると、とんでもないことをしでかしたと欧米から非難されるところだが、EUは英国のEU離脱問題で極東の島国に注目する余裕もなく、米国も11月大統領選挙があり、そこで決まる新大統領が就任するのは来年1月だから、その間に日本がロシアの悪漢を山口でおもてなしして、大きな土産を持たせても、すぐには文句は言われないと思われる。
 
欧米による経済制裁に加え、重要輸出産品であるエネルギーの価格が低迷していて、ロシアは財政破綻に追い込まれそうな経済状態に陥り、プーチンは喉から手が出るほど、どこからでもいいから金が欲しい状況に追い込まれている。今時1兆円ほどの経済協力を約束してくれる国は、世界広しと言えど日本ぐらいしかない。日本にとって今が絶好の領土交渉のタイミングだと思う。