アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

Scotland独立の準備

人口525万のScotlandが、英国のEU離脱を機に、EU残留となる可能性が出てきた。人口6,400万の英国にとっては、小さな島一つをなくした程度の深刻さかもしれないが、Scotland人にとっては重大な決断だ。もともと、英国(Great Britain)はEngland, Scotland、北IrelandWalesから成り立つ島国だが、石油と金融ぐらいしか主だった産業がなく、永らく英国の支配下にあったScotlandは、英国がEUからの独立を目指したように、英国からの独立を希望していた。
 
2014年の住民投票結果は、45:55で独立推進派が負けたが、その時は、EUの一員である英国にとどまるか、EUに加盟できる可能性のほとんどないScotland独立を目指すかの選択だった。その後、英国が国民投票EU離脱を決め、先月、英国が正式にEUに対し2年後の離脱を通告したことから、状況が大幅に変わったため、再度住民投票を行う法律を正式にScotland国会で成立させたのだ。昨年の英国のEU離脱を問う国民投票で、Scotland人の62%が残留に投票している。独立はScotlandの将来に大きくかかわる重大な住民投票なので、今度の住民投票16才、17才の若者にも選挙権を与えることになった。2018年秋から2019年春までに二度目の住民投票を実施するとしている。
 
EU 28カ国のところにScotlandが独立してEU加盟を申請すると、全28カ国が同意しない限り新規加盟は認められない。英国からScotlandが勝手に独立してEU加盟を申請しても英国が同意しないので実現しない。Catalunyaの独立を認めないスペインも、Scotland独立を認めると自国に災いをもたらすので、当初からScotlandを承認しないと主張してきたから、Scotlandが強行に独立を実現すると、EUから離脱するしかなかった。ところが、英国がEU離脱を通告したので、Scotlandは独立しようがすまいが2年後には自動的にEUメンバーから外れることが決定した。
 
EU加盟国でなくなった英国の同意を必要としない状況は、ScotlandEU加盟についての障害が一つ減ることになる。EUとしては、英国の離脱は痛手だが、英国の一部であったScotlandが残留することには特に反対はないはずだ。英国離脱後もEU 28カ国の体裁を維持することができるからだ。Catalunya独立問題を抱えるスペインの事情は少し特別だが、スペイン政権がEU推進派である限り、EU 28カ国体制継続に特に問題はなさそうに思われる。
 

Scotland自治政府Nicola Sturgeon首相(46才)は、同じ女性である英国のTheresaMay首相(60才)を説得して、この機にScotlandの独立を達成したいと固く決意している。英国内部の問題として、一応現在はScotlandは英国の一部なので、英国が同意しなければ一部地域の分離独立は認められない。また、独立した後の新国家の運営も、EUの一員だからと安泰な見通しではない。現状は、Scotlandの「輸出」は、英国向けが、英国を除くEU向けの4倍ほどある。EUと英国の関税条件がどうなるかによって、20194月以降のScotlandから英国向け輸出が激減する恐れもある。しかし、民族独立はScotlandの悲願であり、若いSturgeon首相は必ずや夢を実現するのだろう。