アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

誰も止められない14才棋士

まるで将棋の世界の下剋上だ。昨年12月、当時中学2年生の14藤井聡太四段が、プロ入り初の公式戦で、神武天皇以来の天才棋士と言われた加藤一二三(ヒフミ)九段(77才)と対戦し、見事初戦突破と騒いでいたら、2日大阪で彼の公式戦20回目、澤田真吾六段に勝利し、一度も負けなしの全戦全勝で来てしまった。20戦連勝の対戦相手は、自分と同じ四段から九段まで(九段は相撲の横綱に相当する最高位)の有段者19人と今年の朝日アマ将棋名人戦全国大会優勝者(横山大樹アマ)。プロデビューから20連勝記録はもちろん日本新記録、彼の前の日本記録10連勝だ。その10連勝を達成した人は今まで二人いる。一人は1995年に記録を作った松本佳介六段(45才)、もう一人は1996年に同じく10連勝した近藤正和六段(46才)。
 
14才藤井四段と同じ中学生でプロ入りした、現在の将棋界最強の棋士羽生善治九段(46才)は、プロ入り後の連勝は6で止まった。いかに若くしてプロになり、連勝を続けることが神業に近いかがわかるというものだ。藤井四段のために、今年3-4月にかけて、非公式ながら、14才が現役最強の7人の棋士と対戦するインターネットテレビ番組藤井聡太・炎の七番勝負」があった。この中で彼は、日本最強の羽生九段と対局し勝利している。7人の侍のうち羽生九段も含め6人が14才に負けたのだから天地創造以来の地殻変動に近い。藤井四段が負けた相手は永瀬拓矢六段(24才)ただ一人だった。
 
14に負けた羽生九段は、藤井四段について、「研究量を感じる」とコメント、この将棋界の新星に脱帽だ。他の負けた先輩プロ棋士たちも異句同音に「安定感がある」と評価する。彼は5才の時に祖母に将棋を習ったというから、まだ9年しかやっていない。9年しか経験のない中学生に、大の大人が次から次に皆負けるとはどういうことなのだろう。とにかく盤の読みが速い、その読みが正確というから、大人のプロ棋士にとって難攻不落の敵なのだ。基本的には攻め将棋、しかも終盤が強いので、最後は負けてしまう。
 

囲碁の世界では、先日、中国人プロ囲碁棋士九段(19才、世界最強と言われる)が、Googleが開発した人工知能ArtificialIntelligence)「アルファ碁」が対決し、結果は人工知能の勝ちだった。人工知能は試合の最中に「誤算があった」などの失敗はないらしい。しかし、人工知能と言えども、所詮、人間が作ったもの、人間の脳をまねて深層学習(Deep Learning)を極限まで極め、その上に、強化学習人工知能が自己対局を繰り返す)を積み重ね、二つの情報処理手法の組み合わせで、勝ち方を自己判断するのだそうだ。一寸の判断の間違いもない。

 
人間棋士は、所詮人間であり、「うっかり」がある。人工知能を作っているのは一人の人間ではない。多数の中学生が固まって白鵬を土俵から追い出すようなもの。一対一の戦いではないから、人工知能との対局にどれほど意味があるのかわからないが、一度、将棋の人工知能が現れたら、藤井四段と戦ってもらいたいものだ。四段一人対九段十人でもこの14才は勝つのかもしれない。(一部の)人間の底知れぬ可能性に驚くばかりだ。