アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

カタルニアの自治権停止命令

拙速にスペインからの独立を宣言しようとするカタルニア州政府に対して、スペイン政府は憲法155条を発動させ、州に認めていた自治権を剥奪し、国が直接統治する方針を決定した。憲法155条は、自治政府が重大な問題を引き起こした場合、「スペイン全体の利益のため、必要な措置をとることができる」と規定する。これからカタルニア州担当大臣を任命し、大臣が直接統治することになる。憲法を無視して違法な住民投票を強行したプチデモン(Puigdemont自治州「大統領」など自治州の政府高官は役職から外され、今後給料も支払われない。政府はまともな州議会議員を選ぶ選挙を6か月後を目途に実施し、立て直しを図る予定だ。
 
東京や大阪に他府県出身の住民がたくさんいるように、カタルニア州にも地元出身でない住民が大勢いる。全員がカタルニア人でないのに、学校で使う言語をカタルニア語にするなど、自治を認めすぎると極端になって、スペイン統一には新たな障害になる。州政府から出される公文書も基本はカタルニア語だがから、我らのような外国人はスペイン語に翻訳してもらわないと理解できない。Madridから転勤でBarcelonaに働きに来ていたスペイン人は、子供の学校の問題で単身赴任なんてのもあった。Madridスペイン語でいけるが、Barcelonaの学校はカタルニア語なので子供が不利になり、しかもMadridに戻ったらカタルニア語は必要がない。大阪の学校が完璧な大阪弁で教えたとしても、東京から転校してきた子供は大体理解できるが、スペイン語の子供がカタルニア語で教えられても理解できない部分が多すぎる。イタリア人がフランスの学校に行ったり、スペイン人がポルトガルの学校に行くようなものだからだ。
 
カタルニア語もアイヌ語も文化としては価値があり、保存すべきものだろうが、これから北海道の公式の言葉をアイヌ語にするなどと北海道庁が決めたら、アイヌ語を知らない者にとってはとんでもない迷惑なことになる。亡くなった画家Pablo Picasoのように、親の代でAndalucia地方からBarcelonaにやってきた家族も今のBarcelonaにはたくさん住んでおり、親たちはスペイン語を話し、地元で学校に行っている子供たちはカタルニア語も話す。こんな家族の中で、カタルニア独立の議論をすると、親は当然独立反対、子供は独立派と反対派に分かれる。そんな状況で住民投票で独立を決めようという発想が、少なくとも20年ほど前にはなかった。
 
それがPuigdemontが州の大統領になって独立のための住民投票を強行したので、ついにスペイン政府は憲法の規定に基づき、従来認めてきた自治権を剥奪し、国家直轄の統治体制に変更せざるを得なくなったのだ。スペイン政府はPuigdemontをクーデタの首謀者とみなしていて、事態がここまで来たらPuigdemontをはじめとする現自治州幹部を総入れ替えしなければならない。
 
カナダのケベック州1995年独立を問う住民投票をしたが、その時は独立反対派は50.58%で否決された。カナダが認めて、ケベックが独立するなら大した問題はないが、スペインが認めていない状況で住民投票を強行するのは大いに問題がある。しかも、冷静に考えればカタルニアはEU及びスペインの後ろ盾がなければ生きていくことができないのだから、所詮無理な話だ。