アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

他国に翻弄されるシリア難民

シリアの独裁者Bashar al-Assadに抗議するデモで始まった反政府運動が始まってもう7年になるが、全く出口が見えないまま、人口(2,200万)の半分以上に当たる1,200万人の難民を出した責任を取る者は誰もいない。この間の死者は40万とも50万人とも言われる。7年前、反政府運動が始まった時は、独裁者に反対する勢力が、反Assadで結束したように思われたが、その中身は元々ばらばらだった。いくつもの反政府集団の集合体を自由シリア軍Free Syrian Army)と言っていただけだ。
 

自由シリア軍にはシリア民主軍SDF = SyrianDemocratic Force、主体はクルド人民兵組織)も入っており、Obama米政権は軍事顧問も資金も出してSDFの反Assad闘争を援助していた。

ロシアはシリアの軍港を使わせてもらっている関係でAssadを利用させてもらっているから、彼を支持する。もちろんロシア製武器も大量に買ってくれるからAssadは上得意客でもある。
 
ISが活躍していた頃は、ほとんどの国にとってISは危険なテロ組織なので、Assadよりも反ISでまとまっていたからAssadはやや安泰ではあった。しかし、ISが制圧された後のシリアはAssadvs.Assad諸派で衝突しながら、反Assad諸派の内部でも対立していて、その背景に諸外国が存在するという構図になっている。まずAssad派の背後には利害関係の深いロシアがいて、シーア派のイランもいる。反Assad諸派の中で、クルド人勢力(SDF)の支援者は米国、サウジアラビアカタールなど。しかし、反Assadのトルコにとって、トルコ国内のクルド人口が1,400万もあり、このクルド人が固まって独立運動を本格化するとトルコはつぶれるから、シリアのクルド人勢力(SDF)はトルコの敵であり、殲滅すべき対象だ。要するに反Assad諸派の中で、米国組とトルコの戦いにもなっている。
 
この諸外国対立で迷惑をこうむっているのはシリア人であり、シリアのクルド人だ。ロシアの空爆で家をなくし、Assad化学兵器を使ったことに対抗して米国(Trump)がミサイルを飛ばしたために家をなくし、もうシリアに住む場所がなくなった国民があまりにも多すぎる。トルコ、レバノンはじめ諸外国に逃れたシリア難民は約550万人、外国に逃れることのできないシリア国内の難民は650万人と言われていて、人口の半分以上は、難民として生きているか今回の内戦で既に死んだかどちらかだ。(内戦及びAssadの虐殺による死者はこの7年間で4050万人と推定)
 
排除されるべき独裁者Assadは、IS解体により漁夫の利を得たように生き返っている。シリアでは、以前から、シリア人は置き去りにされ、利害関係国の都合でAssadが生き延び、瓦礫と絶望のみが支配しているようだ。