アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

前FBI長官の間違い


FBI長官Mr. James Comey57才)が1年前、大統領Trump電撃解任されて、この度回顧録を出版した。A Higher Loyalty”(「一段上の忠誠心」)というタイトルの本は、前FBI長官の現職大統領に関する生々しい証言とあってベストセラーになっているそうだ。
 
この本の中で、Comey氏は自分の大統領選挙に対する認識が間違っていたことを認めている。元々、選挙で圧倒的にHillary Clintonが勝ち、Trumpには勝利の可能性がほとんどないとメディアも分析していたし、彼もそのように信じていた。最後まで残った二人の大統領候補だが、Comey氏は、Clintonの勝利を信じていたために、Obama政権当時のClinton国務長官の私的e-mail account問題が、FBIによってうやむやに扱われて、当選後のClinton大統領の正当性にケチがつくことを心配し、投票日直前にFBIとしてClintonmail問題の捜査を再開すると発表したのだという。(これが結果的にClinton敗北の原因となり、彼は民主党側から非難された。)
 
FBIによるe-mail問題の捜査再開発表の当日、Comey家内部では、Clintonを応援する妻も娘たちも父親のやり方に抗議していて、Comey氏自身もClinton応援派だから、自分の記者会見発表が原因で最悪のTrump大統領が当選するなんて想定外だったという。これが自分の最大の間違いだったと認めたのだ。後でわかったことだが、現実にはロシアの諜報機関が主体となってClinton攻撃の多数の偽メールを発信していたため、有権者がそれを信じTrumpに投票したという事実があるので、FBIClinton e-mail問題の捜査再開をわざわざ発表する必要は全くなかったようだ。
 
しかも、大統領選直前にComey氏は、Trump陣営とロシア側が秘密裏に接触している証拠をかなり把握していたにもかかわらず、Clinton e-mail問題だけを発表してTrump・ロシアの接触につき発表しなかったのは、もし発表すると、それまでFBIが密かに捜査していた複数の関係者が捜査に気づき捜査を妨害されることを心配したからという。結果的にこの彼の行動は選挙でTrumpを利することになりTrump大統領誕生に至ったということだ。
 
Comey氏の読みが外れてTrumpが大統領に就任してから、Comey氏は大統領に呼ばれ、自分に忠誠を誓うかと質問された。制度上は大統領はFBIの上に立つが、米国の民主主義は大統領の犯罪を捜査する権限も有しており、FBIは大統領個人の把握する組織の一部とは言えない。Comey氏は、Trump個人に忠誠を誓うとはとても言えず、「米国に忠誠を誓う」と答えたそうだ。Trumpは大統領である自分個人に忠誠を誓う者でなければFBI長官にしておくわけにいかないと決断しComey氏を解任した。これがFBIが捜査中のロシアゲートの捜査妨害(司法妨害)に当たるとされる問題だ。
 
Comey氏の知る限り、かつて米国大統領でこのような程度の低い、尊敬に値しない、マフィアのボスのような人間は一人もいなかったとの結論だ。モラルも倫理感も嘘をつく罪悪感も持ち合わせない下劣な男が、大国アメリカの代表者になることは、シカゴ大学法科大学院卒業の弁護士James Comeyにとって、一番あり得ない現実だったのだ。