アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

獄中正月のカルロス・ゴーン

瀕死の日産を見事立て直した「英雄」カルロス・ゴーンCarlos Ghosn64才)が平成22年度から26年度までの5年間、有価証券報告書に虚偽記載したとして、金融商品取引法違反容疑で逮捕され、更に平成27年度から29年度までの3年間分も容疑が固まったとして再逮捕され、留が1か月に及ぶのでそろそろクリスマスまでには仮釈放かと期待していたところに、今度は本命の特別背任罪の疑いで再々逮捕された。これで、元英雄は元旦を獄中で迎えることが確定した。
 
彼は2008年、自分の資産管理会社がやっていた為替先物取引の最中に、思わぬリーマンショックが起きて円安の予想が外れ、現実は円高(ドル安)にぶれてしまったため、巨額の含み損を被った。同時に円安と思って契約した金融派生商品もことごとくリーマンショックの影響でドル安にぶれてしまい、総額185,000万円の評価損を出して、銀行から保証金を要求されたという。当時の日産の社長として、この取引自体の契約者を日産にしてしまえば保証金の支払いを免れるので、銀行から要求される日産取締役会の決議があるとする議事録を部下のケリーに作らせ、銀行に提出したようだ。しかし、銀行からも提出した議事録を怪しまれて、後にこの契約は自分の資産管理会社に戻した。この行為が第一の特別背任罪容疑だ。
 
自分に戻ってきた18.5億円の評価損に対応する保証を、今度はサウジアラビアの知人に頼み、その見返りとして、日産から数年でこの知人に約16億円支払わせた結果、その分日産に損害を与えたというのが、第二の特別背任罪容疑となる。日産の支払名目は「社長の外貨取引損に対応する信用供与の対価」とはせず、「日産車両販売のための問題解決費用」としたそうだ。確かに、現役の日産社長が個人の為替取引の巨額含み損を抱えていてはまともな会社経営ができない可能性が高く、その問題を解決してもらえば会社経営に精力を使うことができて会社のためになるだろうが、それではあまりにも公私混同の度が過ぎる。
 
特捜部の聴取に対しても、ゴーンは、16億円は信用保証の対価とは一切言っていないそうだ。司法取引した部下が提出した書類で明らかであるにもかかわらず、いつまでも自分は一切悪いこと、不正なことをしていないと主張するので、こんなやつは獄中で正月を過ごしてもらうと検察も意地になっているのだろう。
 
いずれは仮釈放されるとは思うが、国外逃亡の恐れ充分にあり、ケリーのように国外への渡航禁止などの条件付で仮釈放になるとはいっても、まだ日産の取締役に残っているので、日産の息のかかった部下を通して、自分は一切の不正には手を染めていないと持っていくため、影響力を行使して画策する可能性がある。「事件関係者との接触禁止」とすれば、取締役としての業務に支障が出ると屁理屈を言うだろうし、日本語はしゃべらないが口は達者なので、検察もなかなか自由の身にはさせられないところだ。日産も検察もこのレバシリ男には完全になめられているので、毅然とした態度で臨むしかない。この男に有罪判決を出させ、多額の罰金を払わすのが、日本の検察に課せられたcommitment(義務)なのだろう。