アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

英国の第二回国民投票

英国は一度EUから離脱するとの国民投票2016.6.23)でこの329日にEU離脱が実現することになっていたが、離脱の条件(離脱協定)がまとまらず、離脱するにも離脱できない状況にある。最悪の最悪は「合意なき離脱」となり、無秩序離脱となるから、これは避けるべきだ。なにせ、今までEUの一部として自由にモノ・カネ・ヒトが動いていたのに、それが止まるのだから、経済の隅から隅まで混乱に陥ることになる。国境の税関がなかったのにそれを復活するとなると物流が停滞する。英国の免許証でEUでは運転できなくなるが、London– Paris 2時間15分のユーロスターで税関を通り、レンタカーを借りようとすると国際免許証を提示しなければならなくなる。実生活上もかなり不便になり、なぜEU離脱しなければならなかったのか後悔するだろう。

 
離脱協定案には北アイルランドNorthern Ireland、人口180万)問題が大きな争点になっている。アイルランドIreland)はEUの一員であるのに、北アイルランドは英国の一部だから、陸続きのアイルランド北アイルランドの国境管理をどうするかというのが最大の問題だ。アイルランド北アイルランドを完全に分離してしまうことが可能ならトランプ流に国境に壁でも築けばいいが、今まで壁がなく自由にヒト・モノが移動していたのに、突然329日から壁を作るというのも非現実的だからだ。
 
北アイルランドはもともと独立の機運が強く、英国がEUを離脱するなら、自分たちはアイルランド編入してEUに残ると主張する。EU離脱反対派の英国人で、親・祖父母の誰かがIreland人だったら、アイルランド国籍に変更できる。現に英国のEU離脱が決まってからかなりの英国人がアイルランドの国籍を取得したという。
 
May首相の離脱協定案が議会で大差で否決されたのを受け、首相は無秩序離脱に進むことになるだろうと反対派を脅している。国民投票の結果は神の声だから尊重すべきだというのだ。しかし、国民投票自体が、ロシアの陰謀で、ネット工作専門業者がEU残留がいかにばかげたことかと嘘の宣伝をしたためにそれを信じた国民が51.948.1で離脱を決めたことがわかっている。いま二度目の国民投票をしたら間違いなく過半数55-60%)がEU残留に投票するという予測が出ている。
 
こうなったら、首相は再度の国民投票に持っていくべきだろう。もともと、May首相はEU離脱派ではなく、EU残留派だった。国民投票で神のお告げが出たから神の声(国民の声)を聴かなければならないというが、ロシアによって操作された神の声であったことが判明した今、再度正しい神の声が何なのか聴くべきだろう。離脱派が主張していた「毎週£3.5億≒500億円」のEU拠出金が、離脱後はNHS(国民医療サービス)に使えようになるというのが、全くの嘘だったのだから、嘘の情報に基づいて投票したイギリス人も沢山いた。彼らは自分たちの投票の間違いに気づいた今、正しい判断をするに違いない。EU離脱が決まって英国から撤退又は規模を縮小した大手金融機関などは、二回目の国民投票で残留と決まっても戻ってくるとは思われないが、少なくともこれ以上英国からEUの他国に移るのを防ぐことはできるはずだ。