アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

奈良に無料食堂とんかつ屋

希望者はいつでもとんかつをタダで食べられる飲食店が奈良にある。奈良駅からバスで10分ほどの奈良市神殿(コドノ)667-1(☎0742-81-4568)まるかつ店主金子友則氏(42才)が201854日に始めた無料食堂、純粋に世の中の役に立ちたいとの想いで活動を初めてほぼ一年になる。パリで路上生活者など貧困層の人たちに無償で世界一豪華な夕食を提供しているイタリア人シェフ、Massimo Bottura56才)に共通するものがある。
 
まるかつ食堂の前の張り紙は次の通りになっている。
「もしどうしても、お腹(なか)がすいても、お家(うち)にお金がないときやお子さんにおいしいものをお腹いっぱい食べさせてあげたいのにご事情があって難しいときは、コソっと店長に相談してください。電話がいいと思います。そのときは、店長のおごりで、コソッと無料でお腹いっぱい食べてもらいます。お店で食べるのが気まずければお弁当の持ち帰りでも大丈夫です!お代は出世払いでもいいですし、忘れてもらってもいいです。少しでも元気を出すきっかけになればうれしいです。ちょっとでも他人様の役に立てたという気持ちだけで充分うれしいので、本当に気にせんといて下さいね。
まるかつのお客様へ、いつも本当にありがとうございます。皆様に支えていただいているおかげさんで、こういうアホなことができます。心配させてすみませんが、ご理解よろしくお願いします。不快に感じられましたらお詫びします。すみません。」
この店主は奈良県橿原市で育ち、高校卒業後、県内の飲食店で修行、2014年独立してまるかつを立ち上げ、昼食時には行列ができる繁盛店に成長させた人物だ。無料食堂のヒントを得たのは、常連客から突然かかってきた一本の電話だったという。「妻が通帳を持って、子供を連れて出ていってしまった。おなかがすいてどうしようもない。お金が入るまで食べさせてくれませんか」ワラにもすがる思いで電話をかけてきた客をむげに断ることもできず受け入れたのだ。その後もツケのような形で弁当などを提供していたが、状況が落ち着いた頃にこの男性客は、それまでの食事代をすべてきちんと支払ってくれたそうだ。
現実に目の前で困っている人を放っておけない。食だけでもサポートしたい。困っている人を助けたいという店長の想いが無料食堂として実現する運びになった。間もなく開店1年になる。今まで大体2日に一人くらいが無料食堂を利用してくれたそうだ(3月末までに160人ほど)。急に会社の都合で失業した人が、せめて子供たちにおいしいものを食べさせたいと弁当を持ち帰ったり、病気で働けなくなった一家の主が3人の子どもたちと奥さんを連れてきて、久しぶりの外食に感激してくれたなど。生活に困窮していた学生が利用して、後日、家族で御礼にと食事にきてくれたとか。ただ、善意を踏みにじるような客もくるそうだ。「ただで食えるんやろ?」と、食べものに困っているようでもないのに、悪びれる様子もなく無料で食べて帰る。でも店主は、100人中99人にだまされても、誰かのお役に立てるなら続けたいと今日も頑張ってくれている。