アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

五輪マラソン札幌でよかった

IOCは7-8月の東京の猛暑を軽く見ていたことを反省し、暑さ対策として、急遽、マラソン競歩を札幌で開催することを決めた。9月28日、カタール・ドーハで行われた女子マラソンで、4割を超える棄権選手が出たことが決め手になった。ドーハでは日中は暑すぎるとして出発は真夜中の12時としたが、それでもこの結果だから、予定通り来年8月2日女子マラソン、8月9日男子マラソンを東京で強行していたら、どれほどの棄権選手が出てくるか分かったものではない。今年8月15日、五輪の女子トライアスロンのテスト大会が東京で開かれたが、フランス代表選手が脱水症により、救急車で緊急搬送されている。一般にトライアスロンの選手は普通のランナーよりも体は頑丈に鍛えているはずだ。真夏の東京でマラソンなど狂気の沙汰としか言いようがない。

 

そもそも、東京に五輪を招致した時のうたい文句は「この時期(7月24日~8月9日)は温暖でアスリートに理想的な気候」であると東京を売り込んだから、今更、東京の夏は猛暑とは言えない。「屋内の環境は空調がきいて理想的」と条件を付けるべきだったが、東京に誘致するためにはしょうがない。なんとか日本の技術で猛暑の夏をいくらか和らげようと始めたのが、東京の町中を遮熱性舗装・保水性舗装で覆うという事業だ。この3月末時点で遮熱性舗装109km、保水性舗装20km、合計129km出来上がっているという。300億円をかけて「涼しい道路」に改良する一大プロジェクトだが、日本スポーツ健康科学学会によれば、遮熱性舗装の効果はランナーにとって何らメリットはなく、路面の気温がやや低くなるだけで、その上を走る人間が感じる温度は、かえって、普通のアスファルト道路よりも高くなるという。

 

小池都知事はそれでも、東京を走りたいというアスリートのため、マラソンを見たいという都民のために、札幌開催は断固反対と駄々をこねた。とても見苦しい政治家を見た思いだ。東京で強行するのはどう見てもアスリートファーストにはなっていない。来年7月30日に任期が切れる自分の都知事としての身分を確保するための、選挙用のポーズとしか見えない。「私は、これだけ都民のために最後の最後まで東京開催に力を尽くした。だからこの選挙で又知事に当選させてください。」東京五輪は7月24日から8月9日までだから、開会式の都知事は小池で決まりだが、閉会式の都知事は誰になっているか分からない。選挙は恐らく開会式の前に行われるのだろう。

 

IOCとしては、東京マラソンドーハの悲劇は絶対に繰り返したくない。東京で強行する場合は、選手の安全はもとより、ボランティアや沿道の市民の安全にも配慮しなければならない。東京より5-6℃気温が低い札幌の方がよほどましということくらい、東京五輪が決まった時からわかっていたことだ。一番の問題はIOCが放映権を米国に最高に高く売れるこの時期に決めたことが問題で、本当にアスリートファーストと思っているなら、時期を9月とか10月にずらすべきだった。

 

商業主義でIOCもお金にくらんで7-8月開催を決めたのだから、IOCにも責任がある。札幌では会場の収入もないから地元自治体に金を出せとも言えない。この際、IOCが札幌開催のすべての費用を負担して、選手の安全確保を最優先にするのが、IOCの使命だろう。