アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

Swedenの集団免疫実験

 新型コロナを封じ込めようと、世界中でlockdown/都市封鎖を行っているが、それでも世界の感染者1,000万人以上、死者50万人以上(あくまでも統計に表れた数字のみ)という被害をもたらし、更に増殖中だ。最大の感染国米国では感染者268万人超、死者12.8万人超というのが公式発表だが、専門家は感染者の数はこの8~10倍と推測しており、米国だけで感染者2,000万人をこえているのだろう。1月20日に米国で最初の感染者が確認されてから半年もたたずにこれだけ増えるのだから、いかに感染速度が速いかがわかる。免疫保持者が8~10倍というから、恐らく全米人口の7~8%が感染していると思われる。この割合が60%くらいになると集団免疫状態といわれピークを過ぎたとみなされるが、それまでまだまだ長い悲劇が続く。

 

 Lockdownを行ってこの有様だから、もしもlockdownを行わなければどんなことになっているか実験した国がある。北欧Sweden(人口1,000万)の公衆衛生局の疫学者Anders Tegnell博士は、疫学の専門家として、政府にlockdown不要説を主張、自然にほっておけばやがて人口の大半が感染し、その結果、免疫を得て、近い将来、第二波が来た時には、Sweden人皆が免疫を持つようになるから大丈夫と政府を説得した。実は英国も、当初、lockdownをせず、自然に任せて集団感染を狙うと発表したが、首相Johnsonが感染してICUに運ばれるほど様態が深刻になったため、lockdownに舵を切った経緯がある。

 

 日本はlockdownはしなかったけれど、休業要請/外出自粛で急場をしのいだが、Swedenは、一切休業要請も外出自粛もせず、小中学校も普通に通学させていた。その結果、北欧四か国の中で最悪の数字になり、疫学者Tegnell博士は、当初の集団感染が最高という自説に自信を無くしたと伝えられ、現に国内からはTegnellを首にしろという運動が起こっているそうだ。本日現在Swedenの感染者67,667人、死者5,310人と他の北欧諸国と比較して感染者・死者が格段に多い。Lockdown/外出制限をしたFinland/Norway/Denmark三か国の人口合計は1,675万人だが、それでも感染者合計は28,822人、死者合計1,182人と、Swedenほどみじめな数字にはなっていない。100万人当りの感染者/死者で比較すると感染者(Sweden/6,700人、北欧三か国/1,712人)、死者(Sweden/526人、北欧三か国/70人)と、無策がもたらした被害の大きさがわかりやすい。

 

 Swedenにおける死者の90%は70代以上の高齢者、しかし、高齢者だから死んでもしょうがないというのは人命軽視も甚だしい。死者の半分くらいは高齢者施設の入居者というから、高福祉の国で、負担になる老人に早く死んでもらうというのでは説明がつかない。Tegnell率いる公衆衛生局は、より多くの人をウイルスにさらすことで集団免疫を獲得するという人体実験をやったわけだが、結果は弱肉強食、Charles Darwin自然選択説自然淘汰説のとおり、抵抗力のない高齢者が死んでしまい、社会生活・経済活動を犠牲にしないと目標を立てたものの、結局、経済もGDP 10%減という見通しが現状だ。未知のウイルスに対して集団免疫を主張する者は、人殺し政策と批判されても仕方がないだろう。Swedenの社会科学の実験の結果がこれでは、いくら疫学の専門家といえども、公衆衛生局で一国の政策に影響を及ぼしてはならない。人命が先で経済は後だ。