アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

米国:新型コロナの犠牲階層

 アメリカの新型コロナ新規感染者は、ここ数日、毎日20万人前後、一日の死者も2,800人前後と恐ろしい数で推移している。日本の感染者数は、最近、最も多い日でも約2,500人、死者36人(死者累計2,260人)、アメリカの人口が日本の2.5倍であることを考慮しても、アメリカの数字は尋常ではない。統計上、既に人口の4.3%が感染したとなっているが、実際はその数倍なのだろう。Trumpのような科学をバカにする者を大統領に選んだ国の悲劇といえよう。

 

 世界で最も経済格差の大きな国アメリカならではの特殊事情も、新型コロナ世界一の背景にあると思われる。知識産業で働く高級の専門職階層と、衰退産業といわれる製造業などで働く低賃金の労働者階層の二重経済が被害者の数を押し上げている。大金持ちはどの国にも少数いるが、アメリカの強みは分厚い中産階級だった。65~60%だった中産階級は最近では40%くらいに縮小し、上位20%の富裕層と下位40%の下層階級に分類されるそうだ。中産階級の定義は単身者と既婚者で異なるようだが、いずれも平均所得に基づいているので、富裕層に富が集中すすればするだけ、中産階級の平均所得は下がる。

 

 採用する統計にもよるが、どうやら40%に相当する中産階級の世帯所得は$4.5万~$12.5万(約500~1,300万円)、その中央値は$6万(約650万円)というから、$3万(約325万円)以下が貧困層と定義され、人口の18%(6,000万人)に相当する。これらの人達は家賃を払い、食費、交通費、通信費、光熱費、学生ローン(これは人による)などを支払った後、医療保険に入る余裕はなく、新型コロナで重症化しても医療費は払えないから死ぬしかない。(ICUに入ると莫大な請求が来る)アメリカの医療保険は高い上に、初期医療の控除額(=自己負担額)が高いので、たとえ医療保険に入っていても、経済的余裕がなければ病院にかかれない。日々2,800人前後亡くなっている犠牲者達の多くは貧困層に属している人達だ。しかも、Obamacareができてもまだ一切の医療保険に加入していない人達は4,900万人いるというから、薄着で雪道を歩くようなものだ。

 

 新型コロナで失業者は3%からピークは14.7%に跳ね上がった後、回復して10月には6.9%に戻ったというも、失業者は収入を失う(何らかの理由で失業手当を受けられない人が、夏の段階で最大1,390万人にのぼる)だけではなく、会社がかけている医療保険もなくなるから、失業者増に比例して無保険者の数も増える。年末まで、時限で家賃支払いは猶予されているものの、新年からはその猶予(moratorium)も終了、裁判所の強制退去命令が出される対象者は1,000万人を超えると予測されている。退去命令を拒絶するには、3月くらいから滞納している家賃を完済する必要があり、米国の賃借人の地位は日本ほど保護されていないから、冷酷に強制執行される。親族、知人、友人のところに移るか、shelter、福祉施設などに入れる人はまだしも、最悪の場合はホームレス(路上生活)になり、新型コロナにかかって死亡という人が増加するだろう。

 

 変化を求めてTrumpのような詐欺師を自分たちの大統領に選んだアメリカ人の身から出た錆ともいえるが、Biden政権がまともなアメリカに戻してくれることを期待したい。