アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

共和党におけるTrumpの影響力

 米下院の弾劾決議で、共和党から造反してTrump弾劾に賛成した議員は10人(10/211)、上院の共和党造反議員は7人(7/50)だけだった。良識ある国会議員が、なぜイカサマ大統領を罷免することを躊躇するのか、それは2年後に控える自分の選挙を心配するからだ。アメリカ人は、自己中心主義(selfishness)を悪いこととは思っていないようで、かえって、皆が自分のためだけに努力すれば、結果的に社会全体が良くなると考えているのではあるまいか。下院議員は任期2年なので、2年後には選挙がある。上院議員は任期6年だが、1/3が2年ごとに選ばれるので、人によって2年後、4年後、6年後の選挙となる。

 

 今回、上院で同じ共和党のTrump弾劾に賛成した勇敢な上院議員7名は、次回選挙には出馬しないと公言している2名(Richard Burr & Pat Toomey)、6年後に選挙を迎える3名(Bill Cassidy, Susan Collins, Ben Sasse)、4年後に選挙を迎えるMitt Romney(元共和党大統領候補)、2年後に選挙を迎えるLisa Murkowskiだ。上院共和党院内総務Mitch McConell(6年後選挙組)は日和見主義で、Trumpを非難するも、既に大統領の任期は終わっているとの理屈で弾劾に賛成しなかった(それでもTrumpからは恨まれている)。それだけ共和党内のTrumpの影響を恐れている国会議員が多いということだ。下院議員でTrumpに反旗を翻したのは5%に留まる。但し、その5%の中に勇敢なLiz Cheney(54才)という女性下院共和党議長がいる。彼女は4年後の大統領選挙を狙っている共和党の大統領候補だ。Trumpも出馬するというなら、この男と対決することになる。早かれ遅かれTrumpと対決するなら早めに始めようということだろう。

 

 Trump時代に国連大使を一時期務めたNikki Haley(49才)という女性がいる(元下院議員、元州知事)。彼女も早々とTrumpを見限って国連大使を辞任し(2018年末)、Trumpから距離を置き始めた。そして1月6日の議事堂乱入事件を引き起こしたTrumpを痛烈に非難した。この女性も4年後の共和党の最有力大統領候補の一人だ。もはやTrumpの影響を考えていては自分の将来はない、と悟っているようで頼もしい限りだ。

 

 しかし、共和党各議員が心配するほどTrumpの影響が今後も強いかと考えるに、どうもそうではなさそうな雰囲気だ。議会の弾劾裁判は乗り切った形だが、これからは現職大統領ではなくなるので、一般の民間人として刑事訴追、民事訴訟が押すな押すなと待ち構えている。ウクライナ疑惑に始まり今回の議事堂乱入事件のほか、脱税事件など数えきれないほどの訴訟が続く予定だ。民主党が選挙で不正をしたせいで自分が負けたと大ウソをつき、弁護士に片っ端から訴訟を起こさせたが、見事にすべて根拠なしと却下された。これだけ多額の報酬を払って雇った弁護士(Rudy Giuliani)のくせに、すべての訴訟(大統領選で自分の票が盗まれたという主張)に負けたのは弁護士が悪いからと判断し、恩赦を与えなかった。今後、Trumpと同時に弁護士Giulianiも被告席に立つことになるが、Giulianiは自分が有罪になって服役するぐらいなら、ボスを貶めるため検察に協力して服役を免れようとするだろう(自己中心主義)。刑事訴訟と民事訴訟と損害賠償で忙しすぎて、Trumpには、もはや共和党内で影響力を行使することはできなくなるのではないか。