アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

北朝鮮EMP兵器の脅威

 EMP(Electromagnetic Pulse = 電磁波パルス)兵器に関して、今月の米議会で、北朝鮮がロシアの技術を利用して完成させたと報告された。EMP攻撃を受けると、電車、飛行機、自動車、電力網、通信網、衛星通信、電気制御された水道やガス、パソコンなど、すべての電子機器が使用不能となり、現代文明を一瞬にして石器時代に戻すと言われるほど甚大な被害が生じる。北朝鮮のEMP兵器の攻撃目標には、日本はもちろん米国も含まれている。

 

 この兵器の原理は核爆発だ。核爆発により強力な電磁波(ガンマ線など)を発生させ、電子機器に過大な負荷をかけて誤作動させたり破壊したりする攻撃のこと。様々な高度で起爆することにより、影響範囲と電磁波の強度を調整できる。爆発高度が低く地表に近づくほどEMPの威力は大きくなり、逆に爆発高度が高いほど影響範囲が広くなる。高度30kmでの核爆発の場合、地上で半径約600kmのEMP影響圏が生成される。高度400kmの場合なら、EMP影響圏の半径は約2,200kmになり、EMP兵器1発で、全米規模の標的に大きな被害を与えることができる。日本全土を麻痺させるには、東京上空で一発核爆発させれば充分だ。

 

 EMP兵器は一種の核兵器で、中国、ロシア、北朝鮮保有している。(米国は保有していないことになっている) 核兵器ではあっても、電磁波パルス以外の人体に有害な影響(爆風、熱、降下物など)が発生しないので、中露などが、EMP攻撃は核攻撃ではないと主張する所以だ。2004年、ロシアのスーパーEMP弾の技術が北朝鮮に渡り、2006年から2011年にかけて数回の核実験により、北朝鮮は自国のスーパーEMP弾を確立したという。当時、爆発力が1~2キロトンから6~9キロトンと低爆発力だった(広島原爆は12キロトン規模)ので、韓国などの専門家は、核実験は失敗したと分析していたが、実は、これがスーパーEMP弾の実験だったという。スーパーEMP弾は、高レベルのガンマ線を発生する数キロトン程度の小型・軽量のEMP兵器だ。

 

 東京上空96kmの高度で、一発のスーパーEMP弾の核爆発が起きた場合、EMP影響圏は首都から半径1080kmに及び、日本全土の主要な軍事基地や港湾のすべてが、即時機能しなくなる。交通管制システムも損傷し、停電により航空と鉄道の交通も停止する。高速道路は停車中の車両で渋滞、通信システムも損傷又は破壊され、停電の影響を受ける。EMPによって引き起こされた工場災害は全土で起こる。ガスパイプラインは爆発し、町や都市が火の海になる。製油所も化学工場も爆発し、有毒ガスを放出するだろう。停電が数日続くと、原子力発電所の原子炉が非常用電源を使い果たして爆発し、本州全体を放射能で汚染することになる。要するに、EMP攻撃されると、日本の重要なインフラは麻痺し、国は存続の危機に瀕する。

 

 先月、ロシアのハッカー集団DarkSideが、アメリカの燃料輸送管会社に仕掛けたウイルスにより、8,800kmのパイプラインで一日に3.8億リットルを輸送していたガソリンなどが止まってしまい、給油所でガソリンの補給ができなくなったが、EMP弾の被害はその数百、数千倍だ。米国は、予算$1,650万(18億円)を投入し、EMP攻撃に対する対策事業を始めたところだ。