アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

国外逃亡したスペイン前国王に認知訴訟

 スペインの前国王Juan Carlosは、もともと女癖が悪く、スイスの秘密口座にためた多額の貯金を愛人に贈与して、それがばれると、妻のSofia(元)王妃をMadridに残したまま、昨年8月、アラブ首長国連邦UAE)に亡命した。国外逃亡しても脱税した税金は追徴され、2020年12月には€68万(8,800万円)、2021年2月には€440万(5.7億円)をスペイン国庫に納付している。但し、この秘密口座の多額の貯金の原資は、スペインの私企業がSaudi Arabiaの高速鉄道を受注した際に、Juan CarlosがSaudi王家から違法に入手したリベートであり、違法な収入だ。日本企業が、外国の高速鉄道を受注したことをネタに、天皇が自分にリベートを払えと言うようなもので、普通にはあり得ない話だ。

 

 前国王は1938年生まれ、1962年に、今は別居している前王妃Sofiaと婚姻、妻Sofiaとの間には、長女(Elena、1963年生)、次女(Cristina、1965年生)、長男(Felipe現国王、1968年生)がいる。しかし、彼は結婚する前の1956年(18才の時)にBarcelonaの銀行家の娘との間にAlberto Solà(現在65才)という息子を作っている。結婚した後も別のCatalunyaの女性との間に1964年María Alexandraという娘を、更に1966年にはベルギーの女性との間にIngrid Sartiau(イングリッド・サルティオ)という娘を作っている。三人とも婚外子だが、父を定める訴えを起こしても、現職の国王には免責特権があって裁判は受け付けられなかった。

 

 2014年、息子のFelipeに国王の座を譲って退位すると、国王の免責特権がなくなり、裁判所は認知の訴えを受け付ける。まずはベルギーの娘Ingridが訴訟を起こすも、DNA鑑定には応じず、裁判は進展しない。Alberto SolàもDNA鑑定を裁判所に求めるも前国王側が応じず裁判は進展しない。そうこうしているうちにIngridとAlbertoとMaría三人のDNA鑑定をしたところ、この三人は異母兄姉妹である可能性が非常に高いという結論が出た。父親を確定するにはJuan CarlosのDNAが必要なだけ。前国王の立場が非常に悪くなり、スペインにいては裁判にも出廷しなければならず、DNAも提出しなければならないため、国外に亡命するのが得策と判断したのか、遂に昨年スペインから逃亡した。

 

 前国王Juan Carlosは現在83才、自分が死んでしまえば認知訴訟は中断され、国王である息子Felipeに迷惑かけないで済む。いずれ必ず死ぬのだから、できるだけ息子に迷惑をかけないよう、裁判をはぐらかそうとしているのだろう。それにしても、これだけスキャンダルまみれの「国王」も、世に珍しいのではないか。2012年には、野生動物保護を掲げる国際的NGO非営利団体WWFスペイン支部の名誉総裁だった当時の国王Juan Carlosが、アフリカ南部ボツワナに贅沢な象狩り旅行に愛人と出かけ、野生の象を殺して楽しんでいたことがばれて、2年後、国王を退任することになった。しかも、象狩りで怪我をして愛人と帰国したものだから、入院中の国王にSofia王妃は見舞に行かなかったという。若い国王Felipeが、もし、父Juan Carlosのような悪態を繰り返すようであれば、間違いなくスペイン王制は彼の代で終わるであろう。