アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

大谷・大坂なおみ選手にも損害賠償請求

 仮想通貨(暗号資産)交換業者世界三大大手の一角、FTXが11月11日、米国で会社更生法を申請、事実上、倒産した。2019年創業からわずか3年で大手交換業者になったものの、弱冠30才の「カリスマ経営者」と言われたSam Bankman Fried(CEO)の魔法が解けて、数兆円規模の負債を抱える、ネズミ講犯罪者になってしまった。債権者は100万人を超えるというから、仮想通貨の世界のすそ野がどれだけ広いか思い知らされる。

 

 昨年4月、米国の刑務所で病死したネズミ講の神様、Bernard Madoff(バーナード・メイドフ、2009年判決で禁錮150年)は、世界中の大富豪65,000人以上から7兆円($650億)ほどの金を集めたが、被害者はせいぜい65,000人、しかも、大富豪などは、自分の資産を1か所集中投資はしないから、Madoffに引っかかっても大した損害とも思わない。日本の被害者は、野村證券あおぞら銀行住友生命保険、三井住友生命明治安田生命あいおい生命保険太陽生命保険、日本興亜損保富国生命保険などだが、どれもMadoffのせいで会社清算に追い込まれたところはない。

 

 しかし、仮想通貨は大富豪の独占物には非ず、一般の投資家が投資するものだから、FTXの被害者は100万人を超える。資金洗浄(money laundering)に使おうとする者もいるだろうし、純粋に株式を買うように値上がり益を狙う投資家もいる。FTX Japanも、親会社の倒産と同時に、金融当局から業務停止命令を受けたので、相当数の日本人投資家に被害が及ぶはずだ。米国では集団訴訟(class action)になっていて、原告は数十万人に膨れ上がるだろう。ネズミ講の大元はSam Bankman Friedという一人の若者CEOだが、この若者経営者(詐欺師)が使っていた広告塔の著名人も集団訴訟の損害賠償責任を追及されている。

 

 著名なスポーツ選手(フットボールTom Brady、バスケットボールのStephen Curry、Shaquille O’Nealなど)やスーパーモデルのGisele Bundchenなどに並んで、野球の大谷選手、テニスの大坂なおみ選手などもGlobal AmbassadorとしてFTXの広告塔になっており、著名人を使うことによって一般の投資家を安心させ欺いたとして、FTX法人とその創業者CEOの責任が追及されるのみならず、これらの著名人の損害賠償責任も追及されているのだ。しかし、気の毒なことに、大谷選手や大坂選手は、全ての報酬をFTXの暗号資産で受け取ることになっており、FTX倒産により、無報酬で広告宣伝をした割には、損害賠償責任だけ追及されるという、割の合わない仕事をしたことになる。今回のFTX事件により、暗号資産(仮想通貨)業界は、回復不可能なほどに打撃を受けたという論評が大勢を占め、このまま「冬眠」するとさえ言われている。