アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

闇バイト強盗殺人事件の判決

 2022年12月5日、東京都中野区で発生した住宅侵入強盗事件、犯人は住人の男性(49才)の顔を殴るなどして大けがをさせ、現金約3000万円を盗んで逃げた。逮捕された犯人のスマホから、2023年1月19日、東京・狛江市の住宅で高齢女性(当時90才)が襲われた強盗殺人事件の計画に関する記録が残されていたという。当時19才の大学生・中西一晟(イッセイ、現在21才)は、仲間と共謀して、住宅に宅配業者を装って押し入り、90才の大塩衣与(キヌヨ)さんの両手を結束バンドで縛り、タオルで口をふさいだうえ、バールで殴って殺し、高級腕時計や指輪を奪った。実行役は永田陸人(リーダー、22才)、野村広之(53才)、加藤臣吾(25才)とあわせ合計4人。9月6日、中西は4人の裁判で最初に判決を受けた。懲役23年。

 

 中西は石川県から上京して、僕が大学生の時に住んでいたのと同じ中野区でアパートを月5万円で借り、独り暮らしをしていた。生活は、親からの仕送りとアルバイトで賄っていた。そこに、高校の時にゲームで知り合った4才年上の加藤が、住む場所がなくなったから一緒に住ませてほしいと転がり込んできたのが間違いの発端。「家賃は半分払うから一緒に住ませてくれ」と言って来て、断り切れず同居させた。しかし、一度も家賃は支払われず、逆に親からの仕送り口座から、知らぬ間に加藤に生活費を使い込まれ、光熱費も支払えないほど困窮した。

 

 「日当100万円」の高額報酬に目がくらんだ中西は、お金の誘惑に負けた自分を呪った。同居の加藤が、2022年12月21日、広島市の店舗兼住宅で発生した強盗事件に関与したことを知っていたが、警察にばれずに自分と同居していたのを見て、加藤の誘いに乗り、狛江強盗殺人事件実行役に応募し、一攫千金を狙った。2023年1月19日午前11時30分頃、加藤ら仲間3人と共謀して宅配業者を装い、被害に遭った大塩さん宅に押し入る。家人が玄関の戸を開けた途端に襲いかかり、縛って金の保管場所を聞き出すのが、指示役から届いていた実行計画だ。

 

 実行役の裏には、ルフィー(別名「三橋」、本名・今村磨人、札幌出身、40才)などの指示役がいた。ルフィーは、仲間Kim・Sugarなどと共謀し、闇サイトで求人、計画立案から、強盗最中の具体的な指示を与え、入手した金員を回収していた。東京・神奈川・千葉・埼玉・茨木・広島・山口・大阪など全国各地で起こっていた強盗事件を指揮していたルフィーは、当時フィリピンの刑務所に収容されていて、携帯電話で日本に具体的指示を出していた。

 

 ルフィーらに操られた中西は、狛江強盗殺人事件を実行した4人の一人だが、責任が4分の1になるものではない。共犯者が何人いても、共同正犯で全員が死刑も有り得る。現に強盗殺人罪(刑法240条)の最高刑は死刑だ。中西は裁判で、リーダーの永田が被害者をバールで殴打したのを見ていただけと言い訳したが、高額の報酬目当てに一連の犯行に加担したと認められると裁判官に指摘され、バールでの殴打行為といった女性の死に直結した暴行を行っていないことを踏まえても、本件犯行において被告人が果たした役割は重要である」と判示して、懲役23年の判決を言い渡した。犯行当時19才の特定少年は自分の行動を後悔して絶望している。