今月から我が国の元号が令和になる。明治XX年生まれの人は何才か計算するので苦労したと思っていたら、今度は昭和XX年から令和YY年まで何年経過したか計算するのに、やはり西暦に換算しなければ答えが出ない。面倒だからこの際我が国も西暦に統一してはどうかと言う人もいるようだが、それは多数意見にならない訳がある。
西暦は、イエス・キリストの生誕を基準にする。本当は、生まれた年も月も日も不詳なのだが、それでは都合悪いので500年以上も経ってから専門家が「今から525年前に生まれた」と決めた。そんな訳だから12月25日に生まれたという根拠も全くない。当初は生まれた年を西暦元年としたらしいが、しばらくたって4年ほど計算が間違っていたらしく、キリストの誕生は紀元前4年に訂正された。したがって、2019年とは、イエス・キリスト生誕2023年にあたる。(紀元元年の前年は紀元前1年で、紀元0年はない。)
タイ・ミャンマーなどの仏教国では、キリスト教の教祖の生誕を基準にするいわれもないので、釈迦の死亡(入滅)年を紀元元年と計算するようだ。一応、釈迦の入滅は紀元前543年とされるから、西暦2019年=仏滅紀元2562年。しかし、この年号も釈迦死亡後かなりの期間が経過してから専門家が計算で決めたもので、ミャンマー、スリランカなどでは、西暦2019年=仏滅紀元2563年と、1年のずれがある。入滅年をうんぬんするだけなら1年は誤差の範囲だろうが、タイとミャンマーで契約書を作成するのに、紀元2565年が今から何年後か特定できなくては、年号として意味をなさない。
釈迦は80才で死んだことになっているから、教祖を基準に年号を決めるなら、教祖の生誕年を紀元元年とする方が理にかなっていると思われるが、それすら確証もなく、もともと、生誕年は資料によっては紀元前1000年~紀元前400年の間でいろんな説があり、今となってはどれが正しいのか誰もわからない。だから今年が仏滅紀元2562年でも2563年でも何でもいいのだ。これらの仏教国でも、一般的にキリストの生誕を基準にする西暦を併用しているからだ。
イエス・キリストを救世主と認めないユダヤ人は独自のユダヤ歴を使う。ユダヤ歴元年は紀元前3761年だ。西暦2019年=ユダヤ歴5779年。同じく。キリストを単なる預言者の一人でしかないと主張するイスラム教では、教祖Muhammadが布教の地を生まれ故郷のMeccaからMedinaに移転(聖遷)した年をヒジュラ(聖遷)元年(西暦622年)とする。したがい、イスラム教国では西暦2019年はヒジュラ(Hegirae)1398年だ。