アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

北朝鮮、傭兵輸出で外貨獲得

 露朝首脳は6月、「包括的戦略Partnership条約」に署名し、露下院は今月24日、条約批准を可決した。しかし、露朝は条約の発効前に既に北朝鮮兵士をロシアに派兵している。12,000人規模の派兵で、既にロシア国内5か所の基地で訓練を受け、内一部は既に戦闘地域であるUkraine クルスク州に派遣されているという。

 北朝鮮は全国民に兵役を義務付けており(男子8~10年、女子7年)、ロシア派遣傭兵に選抜された者に拒否する権利はない。Ukraine側が公開した北朝鮮兵とされる映像を見たところ、どれくらいの割合かは不明だが、10~20代の新米兵らしき者も含まれているようで、「体格は小さく、あどけない」と報告されている。北朝鮮が派兵する傭兵は、ロシアの制服を着てロシア軍の統制のもとに軍務に服するので、これは自衛隊の海外派遣のようなものではなく、明らかに国家戦略に基づく自国兵士の輸出だ。ロシア軍は、脱走する自軍の兵士を射殺することで知られており、当然、北朝鮮から派兵された傭兵が脱走しようとすると射殺するだろう。突撃命令に背いて行動する者も射殺される。

 戦場では多数の死傷者が発生することは明らかなので、いずれ、本国に戦死・死亡の通知が多数届く頃には、北朝鮮内部で大問題に発展しかねないと思われる。北朝鮮内では、正式にロシアに派兵するとは発表しておらず、派遣される兵士の家族がロシア派兵の事実を把握しているだけだ。もともと、ロシアとウクライナが戦争中という情報も、北朝鮮国内ではほとんど報道されておらず、兵士がロシアに派遣されるなら、チーズなど腹いっぱい食べることができるなど食糧事情が良くなるだろうと期待する程度の認識のようだ。(北朝鮮軍の食事が劣悪なことは、栄養失調になる兵士の数が多いことからもうかがえる)

 傭兵派遣により、北朝鮮は、兵士一人当たり$2,000の対価をロシアから受け取るから、12,000人派兵して$2,400万(約36億円)の外貨を獲得することになる。しかも、傭兵派遣は単なる36億円の外貨獲得に留まらず、派遣中の食料費等兵士の経費負担が軽減される分、それはそれで別途国家財政に寄与する。戦死する者が出ても、補償はロシアが払うという裏取り決めがあるはずで、金正恩にとって傭兵派遣は国防費負担を軽減し、且つ外貨を獲得できる打ち出の小槌なのだ。

 ロシアでは、対ウクライナ戦で既に10~20万人ほどの戦死者が出ており、負傷者は30~60万人といわれる。政府が高額の入隊金、給料で徴兵しようとしても応募する若者はなく、囚人ですら、恩赦と引き換えに徴兵に応ずる者もいない。苦肉の策が金正恩と締結した包括的戦略Partnership条約に基づく傭兵派遣だ。

 しかし、金正恩にとって、この傭兵派遣が命取りになるかもしれない。腕を失い足を失っても、生きて帰国できる兵士などまだましで、傭兵の10% = 1,200人ほどが、北朝鮮の自国防衛とは何ら関係のない戦場で死亡したとなれば、いくら言論統制を徹底している北朝鮮と言えども情報が拡散すること間違いなく、金正恩が批判の的になる時も遠からず訪れると思われる。ロシアへの傭兵派遣が、金王朝転覆の主因になるのではあるまいか。