アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

選択的夫婦別姓は立法で

16日、最高裁は選択的夫婦別姓を認めない民法750条の規定は違憲と判断するかと期待したが、裁判官15人のうち10人が合憲、5人が違憲と判断が分かれ、多数決で合憲とした。15人の裁判官の中に岡部喜代子(元学者)、鬼丸かおる(元弁護士)、櫻井龍子(元行政官)と女性が3人いて、当然全員違憲とした。他に山浦善樹・木内道祥と二人の元弁護士男性判事が違憲とした。合憲とした判事は全員男性で、そのうち7人は元から裁判官、要するに世間知らずだ(寺田逸郎、千葉勝美、大谷剛彦、山崎敏充、池上政幸、大谷直人、小池裕)。他の合憲派判事3人は大橋正春(元弁護士)、小貫芳信(元検察官)、山本庸幸(元行政官)。
 
 判決は原告敗訴だが、その内容は、司法としては敢えて憲法違反とは言わないけれど、夫婦同氏制を強制する民法750条の規定をどうするか、立法で検討する時期ではないか、と国会に問題を投げかけた点を評価したい。96%の女性が、結婚を機に、人格権の象徴である、生まれながらの姓を変えている事実があり、この事実をもって、人格権・個人の尊厳の侵害、男女の本質的平等・夫婦同等の権利の原則に反すると断定しないまでも、立法裁量の範囲を逸脱しているか否かかなり微妙なところにあると認め、国会で議論すべきだと結論付けた。
 
女性の社会進出がここまで進んで、社会生活における自己の同一性を保持することの重要性が増す中で、法律は時代とともに変えるものであり、117年前の民法通りで通用する社会なら、その後我々の社会は何ら発展していないともいえることになる。自己のアイデンティティを喪失してまで家族という一つの集団を対外的に公示し、識別する必要があるのか、検討すべき時期だろう。選択的夫婦別氏制度を採用することに合理性があるとも今回の判決では認めており、家族の一体性を維持するために民法750条を維持せよとは主張していない。
 
同時に無国籍の子の問題の原因として提起された女性の婚姻禁止期間(民法733条で6か月)については、100日を超える部分は憲法違反であり無効と判断された。これもDNA鑑定が実用化されている現在、100日を半分に短縮したところで、問題はないように思う。
 
今回の夫婦同氏合憲判事の一人千葉勝美は、名古屋闇サイト殺人事件20078月発生)の共犯の堀慶末(ヨシトモ帰化前の名は「金慶末)の一審死刑判決を維持すべきところ、二審名古屋高裁、「死刑相当の前科がなく、矯正の可能性がある」との理由で無期懲役減刑した後、20127月、最高裁の決定で無期懲役確定とした当事者だ。最高裁千葉勝美裁判長は、「被害者が1人で、死刑がやむを得ないほど悪質といえない」との理由で上告棄却したが、その後、堀慶末が1998年の強盗殺人事件(被害者夫婦とも死亡)の主犯であったことが判明し、1週間前、名古屋地判平27.12.15裁判員裁判)は求刑通り死刑を言い渡した。この男は名古屋闇サイト殺人事件1年前、20067月にも殺人未遂強盗事件を起こしており、千葉勝美裁判長の「更生の余地あり」という判断が完璧に間違っていたことが証明された。このような裁判官が、「夫婦同姓を強制することは合憲である」と言ってくれても、まあ無視していいだろう。