アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

危険なクリスマスプレゼント

クリスマスイブの24日、福岡地裁裁判長林潤(46才)の高浜原発再稼働差し止め仮処分取消の判決があった。414日には同じ福岡地裁樋口英明裁判長62才)が高浜原発再稼働差し止め仮処分決定の判決を下したところだった。福島第一でこれだけ大きな事故を起こしている原子力が、人間の人智を結集しても制御不可能であることを証明した後にもかかわらず、まだ原発再稼働を認めるのは、現に起こっている重大事故を見て見ぬふりをしているからか、それとも、原発容認の最高裁に立てついたら先輩のように左遷されると心配したからだろうか。(現に昨年521日の大飯原発でも運転差し止め判決を出し、今回の高浜原発運転差し止め判決を下した樋口裁判長は、この後名古屋高裁に移るのが順当な異動=栄転=だが、これらの反原発判決の報復人事により、格下の名古屋家裁に左遷されている
 
今までに発生した使用済み核燃料17,000トンの行き場がないのに、これ以上危険なごみを増やして、どこに持っていこうとしているのか。福島第一の廃炉から出てくる高濃度核廃棄物に加えて、今後、現存する原発設備の廃炉から発生する放射性廃棄物の最終処分場をも確保しなければ、我々は10万年以上にもわたり、核のゴミの中で生活しなければならなくなる。日本のどこにも永久処分場がないとすれば、絶対に打ち上げに失敗しない人工衛星で宇宙に運ぶしかないが、わずかな確率でも打ち上げ失敗の可能性があるならそれもかなわない。
 
今回の高浜原発運転差し止め仮処分取消の根拠は、原子力規制委員会が新規制基準を満たすと認めたから安全であり、基準地震動に関し、関電が示した数値は耐震性が確保されていると信じるに足りるというものだ。4月に樋口裁判長が判示した正反対の結論の根拠は、「基準地震700ガル(震度6強に相当)を下回る地震でも外部電源が断たれて給水が止まり、原子炉の冷却機能が失われる可能性があるところ、それ以上の地震2005年以降だけで福島第一など4原発が5回襲われているから、想定そのものが信頼性を失っている」「新規制基準は、深刻な災害を引き起こす恐れが万が一にもないといえるような厳格な内容であるべきで、現状、安全性は確保されてない」というもの。万が一の危険という領域をはるかに超える、現実的で切迫した危険があるというのだから、再稼働差し止め仮処分は全うな判断だ。自身の信念に忠実に行動した樋口裁判長に、心より敬意を表する一人である。(震度7以上の地震が高浜に絶対来ないと誰が保証するのか。
 
もとより、原子力規制委員会の委員そのものも、現政権の意向に沿わない人は外されていて、中立公正ではない。5名の委員のうち、2年前の9月任期満了となった地震学者の島崎邦彦氏(当時委員長代理)は、福井県敦賀原発2号機の原子炉直下の断層を「地盤をずらす可能性のある断層」と認定して、廃炉を要求したため、再任されず、代わりに任命されたのが地質学者・石渡明。彼は大飯原発34号炉の裏の断層について、「かなり古い地質時代に活動したもので、活断層である可能性は低い」と原発推進派に有利な発言をするから、委員に適任なのだ。そんな原子力規制委員会の認定を信じる裁判官の方がアホだろう。せっかくのクリスマスなのに、こんな危険なプレゼントをもらっては、われらの子孫は益々重い負担を背負って生きることになるだろう。