アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

原発震災から2年後

原発震災から2年になるが、福島の原発事故処理は遅々として進んでいない。震災関連の仮設住宅居住者の半分は福島原発関連であり、Mag. 9 クラスの巨大地震・巨大津波による直接被害者ではない。地震津波は天災だが、原発事故は明らかに人災だ。第二次世界大戦も終わり、核兵器の技術者が大量失業の瀬戸際にいた頃、原子力の平和利用として発電に使えないか同じ技術者に研究させたのが人類の大失敗の始まりのようだ。

1950年代、米英で原発の技術が確立、日本でも1955年原子力基本法を制定して世界に遅れじと原発立国に向け突き進む。1963年には東海村実験炉が稼働し、やがて米仏に次ぐ世界第三位の原発大国になった。その間、米Three Mile島、ソ連チェルノブイリの過酷事故を対岸の火事と無視してきた日本政府も電力会社も原子力保安院も、原発の真の危険性を人々に知らせず、安全神話だけを作りだした。

原発がなければ電力不足になるとか、それでも原発のコストが一番安いなどと全くでたらめな理屈をいう電力会社の主張を、ごもっともと納得する安倍首相には、我が国の将来世代に対する責任感が欠如している。福島第一原発廃炉というが、事故から2年経過しても一向に進まず、廃炉の目途をつけるだけで40年はかかると現場では言っているそうだ。その間毎年数万人の作業員を必要とするが、これらの作業員は確実に被曝するから、同じ作業員が翌年も翌々年も働くわけにはいかない。福島第一原発廃炉だけで百万人もの被爆者を作ることになるだろう。人々の暮らしを豊かにするはずの電力を作る一方で、下請が連なる多重請負構造社会の下、危険な現場に投入されている作業員は、他に仕事のない経済弱者だ。東電の幹部も御用学者も現場には近づいていない。

福島第一以外の原発廃炉にするにしても、その十数倍の人的被害を出すことを覚悟しなければならない。更に、既に国内の原発から発生した使用済み核燃料1万7,000トンの処分場を探さなければならない。10万年以上に渡って管理し続けなければならない核廃棄物の管理責任者は、10年ごとに新旧交代したとしても1万人=1万世代と気の遠くなるほどの負担だ。地下深くに埋めるといっても、誰が10万年の間一度も地震が来ない地域だと保証できるのか。

唯一核のゴミの地下埋設が2020年までに実現するというフィンランド(地下420m)ですら、緑の党は「1970年代に戻れるなら原発を作るなと言いたいが、既に作ってしまった核廃棄物は、我々の問題として、我々の世代で解決しなければならない」と、これ以上核のゴミを作るべきでないと主張する。10万年前、ネアンデルタール人が核のゴミを残してくれていたら、我らはこの先祖を恨むだろう。将来世代に恨まれるようなゴミを作るべきでないということを、理解できない人間は、この世で生きていく資格がないのではないか。大江健三郎氏に原子力規制委員会を任せてもらいたいものだ。