アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

核燃料サイクルの欺瞞と原発再開

我々は長い間核燃料サイクルという国・電力会社の作りだした幻の技術を信用させられてきたが、福島第一の過酷事故を契機に全てが虚偽の政策・技術であることが明らかになってしまった。元々使用済み核燃料を再処理して更に大きなエネルギー源として使えるという技術はどこにもなく、第一、再処理の過程で環境中に放出される放射能の量が極端に大きく、放射能の垂れ流しに拍車がかかるという、環境にとって最悪の結果を生む。環境悪化を別にして単なる経済性を比較しても直接処分に比べて再処理の方がはるかに高くつくとの試算があるが、この経済性を検討するはずの国の原子力発電・核燃料サイクル等検討小委員会は、推進派の事業者・官僚を中心に動いており、一部の慎重派・反対派に対しては会合に出席をさせず書き換えた報告案原案を見せて安心させていたという事実が暴露された。20回以上も推進派だけで秘密会議を開き直接処分有利の証拠を改ざんして再処理有利の結論に持って行ったから慎重派・反対派は到底納得できるものではない。青森県六ケ所村に建設中の再処理施設は2兆円をかけてもまだ完成せず、一度使ったその再処理施設を廃棄する費用は19兆円と試算されている。
核の再処理には常にプルトニウムの爆発性・毒性による危険が伴い、燃料棒のさや火災など英国Sellafieldで過去に起きている。SellafieldのThorp plant(使用済み核燃料再処理工場)で2005年に発生した配管破損事故では猛毒プルトニウム200kgが漏洩し、現場には人間は近づけず、施設は閉鎖されたままだ。核には経済合理性がないという経済上の問題だけではなく、人間の住む環境を脅かす悪魔であることを理解すべきだ。原発震災事故等が起これば半減期が数十万年という放射性物質が我々の住む環境を汚染しそれを取り除く方法はどこにもないのだから。地球規模の汚染の影響ははるか未来の生命に及ぶ。あたかも20万年前、ネアンデルタール人が使用した原発の使用済み核燃料から発生する放射性物質で今生きている我々が苦しむようなものだ。我々はネアンデルタール人の先祖を恨むだろう。このまま核のゴミを増やせば20万年後の我々の子孫はその先祖である我々を恨むに違いない。この瞬間日本の原発は全て止まっているが、政府は大飯原発の再開を認めようとしている。既に国内で処理できない使用済み核燃料廃棄物が15,000トン以上ある上に、原発再開となれば更にその処理できない核のゴミを増やすことになる。我々は自分達で始末できないゴミをこれ以上作るべきではない。関電管内で不足するかもしれない電気は送電網を通して他の電力会社から融通してもらうことで解決するという。関電にしてみれば今期の決算のためせっかく設備投資した原発を使いたいのだろう。責任ある大人であれば核のゴミ捨て場を確保してからゴミを作るのが筋だ。今のところそのゴミ捨て場は宇宙にしかないようだが絶対に安全な輸送手段がないのであればそのようなゴミを作ることは人道に反する犯罪である。少なくとも日本では原発は絶対に再開してはならない。