アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

新入幕で幕内優勝の快挙

 大相撲春場所、新入幕の24才尊富士(タケルフジ)が千秋楽に勝って13勝2敗で初優勝。新入幕の力士が優勝するのは1914年5月場所で優勝した元関脇・両國以来、110年ぶりの快挙だという。幕内最下位(幕尻)東前頭17枚目とはいえ、初日から8連勝して単独トップとなると、対戦相手も上位になる。9日目は小結・阿炎、11日目は大関琴ノ若と上位陣も皆やっつけて11連勝。この時点で敵は9勝2敗の大の里(西前頭5枚目)しかいない。横綱照ノ富士は、早々と7日目で休場、大関は4人いるが8勝3敗で追うのは尊富士に負けた琴ノ若と豊昇竜の二人だけ。

 

 12日目、大関・豊昇竜と対戦し、幕内初黒星、13日目、関脇・若元春に勝って12勝1敗と依然単独トップ。この時点で尊富士を追うのは、共に10勝3敗の大関・豊昇竜と前頭5枚目・大の里の二人だけ。尊富士がたとえ14日目・千秋楽と連敗して、豊昇竜と大の里が2連勝した場合、3人で優勝決定戦になる。但し、千秋楽は豊昇竜と大の里が対戦するからどちらかが負けて2人で優勝決定戦となる。結果は、14日目、豊昇竜が負けて4敗となり、優勝の可能性はなくなった。

 

 14日目、尊富士は前頭筆頭・朝乃山(元大関)に負けて12勝2敗、追う大の山は11勝3敗。但し、尊富士は朝乃山戦で右足首の靱帯を負傷し、歩けないほど深刻な状態になり、車いすで病院に搬送されるという事故が発生、千秋楽の出場は無理だろうと思われた。千秋楽、たとえ不戦敗となっても12勝3敗、大の山が千秋楽に勝てば同じ12勝3敗となり、尊富士と優勝決定戦になるところだが、尊富士が不戦敗で優勝は逃す。実際は、大の山は千秋楽、大関・豊昇竜に負け4敗となったので、尊富士は、たとえ千秋楽休場しても優勝力士になっていた。

 

 相撲にけがは付きもの、無理すると今後の相撲人生が台無しになるので、師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)は休場を勧めていたそうだ。それに対して、部屋の大先輩、横綱照ノ富士は「お前ならやれる」「せっかくのチャンスに出なければ後悔する」と出場を勧めた。せっかくの目の前の優勝を、大の山の勝ち負けに委ねるのは男らしくないと、尊富士は出場を決意、そして千秋楽、前頭6枚目・豪ノ山に10秒ほどの速攻で勝利、堂々と新入幕初優勝を果たしたのだ。

 

 先場所の十両優勝に続いて、今場所の幕内優勝と、十両・幕内で二連勝した力士は史上初。初土俵から幕内初優勝までたったの10場所というのも史上初(従来の最速は貴花田の24場所)。新入幕から11連勝は元横綱大鵬しか持っていない記録という。優勝に加えて、殊勲賞・技能賞・敢闘賞の三賞も独占、今後の活躍がますます楽しみな青森県出身の24才だ。