アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

米銃乱射犯の両親に10年以上の禁錮刑

 2021年11月30日、米国Michigan州の高校Oxford High Schoolで、当時15才の少年が銃を乱射し、生徒4人が死亡、他に生徒6人と女性教師1人が負傷するという事件が発生した。少年(Ethan Crumbley イーサン・クランブリ、現在17才)はその後、終身刑(仮釈放なし)となったが、その両親、James(父、47才)& Jennifer(母、46才)Crumbleyの責任を追及できるかMichigan州地裁で審理されていた。その判決が今月出て、二人とも過失致死罪により10年~15年の禁錮刑が言い渡された。未成年銃乱射犯人の監督責任者である両親が有罪となる初のケースになった。

 

 少年は、もともと精神的に不安定な病気を持っており、父親はそれを知りつつ、早めのクリスマスプレゼントとして事件4日前に拳銃を買い与え、銃販売店を出る時は、少年が銃を所持していたと銃販売店の店員が裁判で証言している。この時点で既に違法行為であり、買った銃は大人が所持しなければならない。翌日には、母親が少年と一緒に射撃場に行き、50発実射の練習をしている。

 

 事件前日、少年は教室でsmartphoneの銃の写真を見ていたので、先生が母親にその事実をmessageで送って伝えるも、母親は教師の注意を無視し、息子に「捕まらんようにしなLOL(笑)」とmailを送っていたとのこと。

 

 事件当日の朝、少年が教室で、銃で撃たれて人が血を流して倒れている絵を描いていたので、教師が母親を学校に呼び出し、話し合いがなされたが、母親からは子どもに銃を買い与えていた事実を教師側に伝えなかった。その数時間後、リュックサックに忍ばせていた銃をトイレで取り出し、少年は教室に戻って銃を乱射、生徒10人と女性教師(Molly Darnell、49才)に当たり、その内、生徒4人が死亡、生徒1人が重体(存命中)という大事件を起こしたのだ。

 

 いくら事件当時15才の未成年といえども、事理弁識能力はあり、結果に対して責任を取らすべきだということで、Ethan Crumbleyは、仮釈放なしの終身刑となった。子供に責任を負わすなら、両親は責任を負わないというのが従来の米国の判断基準だったが、この場合の両親の態度は、単なる育児放棄(neglect)でも監督責任の問題でもなく、事件により能動的に加担した結果の事件と判断され、間接的殺人罪(involuntary manslaughter)が認められた。

 

 少年は、可愛がってくれていた祖母が死亡し、唯一の親友が転校していなくなったため、人生を悲観して、狂気の行動に出た。両親は何もわかってくれない。母親は愛人(消防士)と過ごす時間が長く、息子にも夫にもあまり関わらなかったという。事件後すぐに逮捕された両親は、今回の判決が出るまでの2年半の間、刑務所で過ごしてきた。もし仮釈放があるとすれば、あと7年半後には出所できるが、そうでなければあと12年半を刑務所で過ごさなければならない。父親は、懲役15年を求刑した検察官に対し、刑務所の中から「出所したら報復する」と脅しており、仮釈放は認められないだろう。死刑判決を下した裁判官にヤクザの親分が「えらいことをしてくれたな」と脅すようなもので、どこの国にもこの手の人間はいるというものだ。