アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

新原子力規制委員

原子力規制委員会5名の委員のうち、9月に任期が切れる2名につき、原子力推進自民党は、より規制感の緩い2名に交替させることになった。一人は地震学者の島崎邦彦氏(現委員長代理)、この方は、福井県敦賀原発2号機の原子炉直下の断層を「地盤をずらす可能性のある断層」と認定して、廃炉を要求、早期再稼働を目指す電力会社に厳しい地震津波対策を要求した人だ。今後もこんな厳しいことを言われては再稼働はおぼつかないとして、白羽の矢を当てたのが東北大学教授の地質学者・石渡明。彼は、大飯原発34号炉の裏の断層について、「かなり古い地質時代に活動したもので、活断層である可能性は低いと思う」と電力会社に有利な発言をし、原子力推進派自民党の目にとまった人物だ。どなたが審査するか、人選の段階でほぼ結論が出るというものだ。
 
もう一人交代する委員は、国連大使で国会事故調査委員も務めた大島賢三氏。原発は慎重に進めるという立場の人であったため、就任当初は、原発推進派の彼に「規制」できるはずがないと批判までされていたのに、彼の交代に連れてきたのは、なんと、原子力ムラのボス、田中 知(東大大学院教授)。元日本原子力学会の会長、現在、原子力利用を研究する財団法人エネルギー総合工学研究所の役員、しかも、2004年度~2011年度の8年間に、原子力事業者や関連団体から760万円超の寄付や報酬を受け取っていたから、原子力規制委員会の発足に当たり、民主党前政権が定めたガイドライン(直近3年間に同一の原子力事業者等から、個人として一定額以上の報酬等を受領していた者)では、規制委員に就任できない「欠格要件」にあたる人物だ。
原発強力推進派である田中 知の欠格要件について、環境相(石原息子)は、衆院環境委員会で、「民主党政権時代のガイドラインは考慮していない」と答弁、既存のガイドラインは無視し、自民党政権としてのガイドラインは現在なく、今後も作る意向はないというから呆れるばかりだ。原子力規制委員会設置法1条は、「委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する」としており、このような危険人物の委員就任が、規制委設置法に違反することは火を見るより明らかだ。もっとも当の環境相は、原発事故で汚染した土などの中間貯蔵施設を福島に建設するにあたり、「最後は金目でしょ」と本音を発言し、撤回するはめになったでたらめな人物。法律を無視するのは朝飯前なのだろう。

この原子力規制委員会、本来は原子力保安院という何の役にも立たなかった「監視役」を解体して作ったはずだが、その委員長に就任したのが御用学者の田中俊一。原子力のプロとして福島の事故を起こしてしまい、社会に申し訳ないと言い訳をした手前、結構「慎重に」再稼働の可否を検討しているようだが、自民党政府は交代の新委員にバリバリの原発推進派を送りこみ、「慎重」な推進派の委員長にまで、早く再稼働させるべく、圧力をかけているようだ。凡人も学者も商人もみな金に弱い。規制委の委員全員が原発積極推進に動き、再稼働を早めることになるのだろうか。大飯原発運転差止請求訴訟判決を出した樋口裁判官の爪の垢を煎じて、規制委各委員殿に飲ませてあげたいものだ。