アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ようやく我が国も夫婦別姓か


我が国は永らく夫婦同氏制度をとってきたが、最高裁16日、新判断を下すと思われる。現在、民法750条に基づき、男女は婚姻に際し、夫又は妻の氏どちらか一方を称することになっており、条文上は男女同権だが、実態は97%が夫の氏を採用している。夫婦共働きの場合、氏を変更することによる不都合、不合理、苦痛は以前から問題になっていて、現に国連女性差別撤廃委員会から、日本は繰り返し民法改正を勧告されている。国連は35年以上前から、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する「女子差別撤廃条約」を採択しており、この中で、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める「選択的夫婦別氏制度」も定めている。


日本は30年前にこの条約に批准したが、民法750があるため、夫婦同氏制度を継続してきた。「家族の一体感を確保する」には夫婦同氏が望ましいのだそうだが、国連の女性差別撤廃委員会は、過去何度か、法改正をするよう、日本に勧告して。世界の大勢は、個人の人権尊重の立場から、選択的夫婦別姓であり、いまだに夫婦同姓を維持しているのはジャマイカヒンドゥー教徒くらいだ。


しかし、夫婦別姓を認めると本当に家族の一体感がなくなり、家族が崩壊するのだろうか。世界中、大多数の国で選択的夫婦別姓を採用していて、海外では既に家族が崩壊しているとでもいうのだろうか。ひるがえって、夫婦同姓を維持している我が国では、家族の崩壊は極めて少なく、家族の一体感が損なわれることはないとでも言えるのだろうか。国際結婚の場合、原則、夫婦別姓となるが、家族の一体感はないと言い切れるのか。冷静に実態を見れば、夫婦別姓と家族の崩壊は無関係と言えるはずだ。


今回の訴訟は、東京都内の事実婚の夫婦ら5人が、国に計600万円の慰謝料を求めて起こした。「結婚すればどちらかの姓を名乗ることを強制され、精神的苦痛を受けた。民法の規定は憲法13条に基づく個人の尊重、自由の権利の尊重、憲法24条に基づく個人の尊厳、両性の平等の原則に違反して、憲法違反だと主張する。二年前の一審・東京地裁は「別姓の権利を憲法は保障していない」として請求を棄却し、昨年の二審・東京高裁も「家族の一体感を確保する立法目的は正当であり、違憲とは言えない」と判断したため、最高裁で決着つけることになった。 


 結婚を機に氏を変えることにより、本人の同一性が確認しにくくなり、職業生活上不利益を被る大多数の女性(一部の男性も)がおり、また、一人っ子同士の結婚においては、氏を変えることが事実上、結婚の障害となっている例などが報告されている。世界的には、事実婚同性婚が広く認められる時代になって、わが国だけ、夫婦が同じ姓を名乗ることを法律で一律に規定するのが妥当なのか、問われていると思う。選択的夫婦別姓制度は、基本的人権を重視する「先進国」が固執すべき制度であるとは考えられない。願わくば、最高裁大法廷の15名の裁判官の誰一人も、明治時代同様の家族制度を維持するかのような、前近代的判決を出さぬよう望むものだ。