アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

カタルニア独立は非現実的

101日の住民投票でスペインから独立すると騒いでいるカタルニア(Catalunya)州、300年以上もの長きにわたってスペインの一部としてやってきたのに、単にスペイン政府に税金を納めすぎるのが納得いかないと独立を叫ぶ独立派政治家は、ちょっと短絡すぎる。今更EUから脱退して独立国として経済的にやっていけるはずがない。
 
Catalunyaはスペインの人口(4,653万人)の16%744万人)でありながら、GDP19%を占める裕福な地域だ。MadridAndaluciaのスペイン人を自分たちの税金で養っていると思っているが、それはBayerSeatVolkswagenNissan Motor Ibérica等の大企業がCatalunyaで工場を持っているからだ。もし本当にCatalunyaがスペインから独立してEUから出てしまうと、これらの大企業はすぐさま地元の大手銀行(Banco SabadellCaixa)が本部をValenciaMadridに移したように、Catalunyaから出て行ってしまう。彼らはCatalunyaでモノを売りたくて工場を建てたのではなく、EUに売りたくて、立地条件の良い場所に工場を持っていただけなのだ。
 
Catalunyaが独立してEUに残るには大きな障害がある。まずもってスペイン政府は違法住民投票として、今回の住民投票自体を認めていない。州の独立は手続き上の憲法違反だ。また新興国CatalunyaEU加盟を申請すると、スペインを含む全加盟国の承認を必要とする。Mariano Rajoy首相は絶対に承認しないと言っている。北朝鮮ですら国連に加盟しているのだから、Catalunyaは国連には加盟できるかもしれない。しかし、通貨Euroを使うことは許されず、スペイン国王の肖像の入ったPeseta紙幣を印刷することも許されず、違法住民投票を主導したプチデモン(Puigdemont自治州首長の肖像を使うしかないだろう。そんな通貨はFrancoの肖像入りの昔の紙幣以下の価値になるに決まっている。
 
そもそも、スペインの一州が独立するか否かの重要な選択に、投票率の下限を設けないのは重大な欠陥だ。今回の投票率自治州発表40%というも、同じ人間が何度も投票したという証言もある。一応、534万人の有権者のうち、226万人が投票したことになっているが、独立反対派は元々ボイコットしており、投票所に行っていない。独立賛成派だけが投票して90%の賛成と言っても所詮、茶番でしかない。英国のEU離脱国民投票も単純過半数としてしまったCameron首相(当時)の間違いで、絶対多数(例えば65%)を条件にすべきだった。
 
英国のEU離脱国民投票でもそうだが、離脱派は、離脱の費用、離脱後の未来像を正しく説明しなかった(というか、間違った説明をした)ため、国民が間違った選択をしてしまった(選挙後に後悔している)。Catalunya独立を叫ぶPuigdemontも、無責任に、中央政府に吸い上げられる税金を我らの手に取り戻すとしか言っていない。EUの一員であるスペインの一州として存続した方がはるかに豊かな生活ができるだろう。カトリックの教えだと思うが、恵まれない者を助けるのは、恵まれた者の義務でもある、要するに親族間の扶養義務のようなものだから、邪なことを考えず、同じスペイン人として、仲良く暮らすのが一番賢明なのではないかと思う。