ロシアはウクライナを相手に戦っているが、G7をはじめ、西側諸国がすべて、ウクライナを支援しているので、実際は、ロシアが世界と戦っているようなもので、一年もロシアが持ちこたえたというのが不思議なくらいだ。昨年6月にはロシアは債務不履行(default)に陥り、西側経済から締め出されて、金融面でもドル・ユーロの世界に入れない。頼るは中国、イラン、北朝鮮などのヤクザ国家(rogue countries)しかない。
中国の習近平が、3月20~22日、国賓としてモスクワを訪問してくれて、Putinは何とか体面を保ったように見えるが、実はPutinの失脚、ロシアの崩壊を見据えて、嵐の前の静けさを演出したのではないかと思われる。ソ連時代、中国はソ連の部下の一国程度の存在であった。今回の習近平の訪ロで判明したことは、ロシアはもはや中国の属国に成り下がったとの印象を世界に与えたということだ。誇り高いロシア人が、空港からKremlin宮殿に向かう道路上やビルの壁面に、「熱烈歓迎 習近平主席 ロシア訪問」と中国語で書いた横断幕を、大量に掛けていたというから、よほどPutinは習近平の助けが欲しかったとみえる。
経済が戦時体制になり、軍事費最優先の結果、国民の生活は困窮し、十数万人とも言われる戦死者(負傷者は通常その約3倍の数)を出して、なお先が見えない国に愛想をつかして、国外移住(逃亡)したロシア人は、100万人以上と言われる。貧困層は国外に出るすべもなく、国外に移住した大半は、優秀な人材が多いから、ロシアにとって、モスクワにミサイルを撃ち込まれる以上に、大きな打撃になっているはずだ。富裕層が国外脱出する場合は、預貯金なども持ち出すから、ロシア経済はますます疲弊する。徴兵に応募してくれるロシア人は、殺人・強盗などの犯罪を犯した懲役刑の囚人ばかりで、彼らはWagnerというロシア第二軍団が雇い、6か月の戦闘を生き抜いた暁には、恩赦により残りの刑は免除される。大半は戦闘で犬死をするが、一部、6か月生き抜いた運のいい者だけは、ロシアの社会に戻ることができる。このようなロシア人で構成されるロシアという国はどれほど価値があるというのか。
最近、Putinと元大統領のMedvedev(メドベージェフ)の二人で話した内容というのが、ウクライナ大統領Zelenskyの元顧問Arestovych(アレストビッチ)により暴露されている。習近平にはロシアは2030年までPutin大統領でいってほしいと言ってもらったが、ウクライナ軍事侵攻の結果が現状のままでは、年内もつかどうかも分からないPutinに、次期大統領選挙まで現職で続ける可能性はほとんどなく、その場合、実質的にロシアを率いるのはMedvedevにしようと二人の間で合意しているというのだ。はっきりしているのは、PutinもPutin後を真剣に考えているということ。我々はロシアの崩壊に備える必要がある。