アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

続Prigozhinの反乱

 Prigozhin(プリゴジン)の反乱から1週間がたち、ようやく反乱の内情が見え始めた。Prigozhin(62才)はロシア軍の内情も知り尽くしているから、当初は、対ウクライナ軍事作戦・ロシア軍副司令官(Surovikin大将、56才)など、自分が反乱を起こせば、ついてくる軍の上層部が相当数出ると見込んでいたようだ。Prigozhinの目標はPutin政権を倒すことではなく、国防大臣(Shoigu)と軍の司令官・参謀総長(Gerasimov)の二人を拘束して、Prigozhinの気心の知れた人物に挿げ替えようとしただけという。

 

 国防大臣も参謀総長汚職にまみれており、特別軍事作戦を利用して最大限に私利私欲を肥やしている官僚であり、部下が命を懸けて国のために戦っているWagnerにとっては、許せない存在だという主張だ。官僚の汚職は、ソ連時代からずっとあったもので、ロシアに変ったからといって突然なくなるものではない。Putinが23年間ロシアに君臨できたのも、大統領の権限で、oligarchと呼ばれる新興富裕層の利権が守られ、その一部がPutinに上納されるという汚職統治がまかり通ってきたからだ。Putinは、oligarchから巻き上げた資金を、国外の新ロシア派政治家にばらまき、意のままに操れる政権を擁護してきた。Belarusの大統領Lukashenkoもその一人で、Putinには大層恩義を感じており、今回のPrigozhin反乱においても、大ごとにならぬよう仲介を勤めた。

 

 しかし、他人の汚職を追及する者が、Prigozhinでは、説得力がない。そもそも、この男は、旧ソ連時代に強盗や売春斡旋などで9年間服役した実績のある凶悪犯だ。その後、縁あってPutin専属の料理人になり、それから飲食業系の事業で財を成して、軍隊まで持つoligarchとなっただけだ。民間の軍事組織とは名ばかりで、ロシアの予算で活動していることが、図らずも今回の事件以降のPutinの発言ではっきりした。民間軍事会社Wagnerの過去1年間の資金は、ロシア国家が2,800億円の国家予算をつぎ込んで運営してきており、その上に武器などを現物支給してきたとばらしている。(昨年末、北朝鮮からロシアが輸入した武器もWagnerに渡ったとのこと)

 

 Wagnerの軍隊が、モスクワの200km手前まで何の抵抗も受けず進軍できたのは、一つには、Surovikin副司令官のような軍の大物が、Prigozhinの理解者であったことのほかに、ロシアの軍隊のほぼすべてがウクライナ侵攻に出ており、ロシア国内にほとんど軍隊らしきものは残っていなかったという特殊事情があったからだ。もちろん、この事情をよく知っているPrigozhinは、この機会にモスクワに進軍できると判断したのだ。現在、Surovikin副司令官は内乱を起こしたWagnerの側についた(又は反乱を知っていた)との理由で、Putinに拘束されているとの報道がある。