歴史上我が国の南海地震、東海地震、東南海地震はトラフ(trough)と呼ばれる、水深6km以内の比較的浅い海底盆地の振動により発生しており、文字の記録が残る日本書紀以降、一定の間隔で定期的に起きてきた。684年の白鳳地震以降、過去1339年間の歴史を見ると、約100~200年周期で、南海トラフ地震が発生してきたことが分かる。歴史は繰り返すので、専門家は、今後20~30年以内に、70~80%という非常に高い確率で、次の南海地震が発生すると予測する所以だ。
887年8月 M8.25 仁和地震 (203年後) 四国~静岡
1096年12月 M8.0~8.5 永長東海地震(209年後) 紀伊半島~静岡
1099年2月 M8.0~8.3康和南海地震 (2年後) 四国~紀伊半島(東海の2年後南海地震)
1361年8月 M8.4 正平東海南海地震 (262年後) 四国~三重(東海の2日後南海地震)
1498年9月 M8.2~8.4 明応地震 (137年後) 四国~静岡
1605年2月 M7.9 慶長東海南海地震 (107年後) 九州~千葉に被害多い
1707年10月 M8.6(~9.3)宝永地震 (102年後) 四国~静岡(記録の中で最大規模)
1854年12月 M8.4 安政東海南海地震 (147年後) 四国~紀伊半島(東海の翌日南海地震)
1944年12月 M7.9 昭和東南海地震 (90年後) 紀伊半島~静岡
1946年12月 M8.0 昭和南海地震 (2年後) 四国~紀伊半島(東南海の2年後南海地震)
また、東南海地震の特徴として、東海地震が発生した直後から2年後くらいの間隔で南海地震が発生してきた。1096年の永長東海地震 → 2年後、康和南海地震発生、1361年の正平東海地震 → 2日後、正平南海地震発生、1854年の安政東海地震 → 翌日、安政南海地震発生、1944年の昭和東南海地震 → 2年後、昭和南海地震発生、という具合だ。しかも、巨大な東南海地震の場合は、現在は休火山と目されている富士山の大噴火を誘発したこともある。日本書紀以降、最大規模の地震と言われる1707年の宝永地震(四国~静岡)の49日後に、富士山宝永大噴火が発生している。
1854年の安政東海地震以降、169年経過するが、その間、巨大な東海地震は発生していない。今後、東海地震が引き金となって、南海トラフ全体で巨大地震が連動して発生する可能性が指摘されている。南海トラフのような海溝型巨大地震が発生すると、必ず津波が発生する(予想では、最大34m)。犠牲者32万人、全壊・焼失建物238万棟、経済被害220兆円との試算がある。この災難が明日来ると覚悟して、最大限の対策を取っておくしか、我々にできることはない。